26歩目「銃弾のワルツ」
「どうした?驚いた顔をして……だから言っただろ? 俺とアンタに弾数の差なんてないって」
「お前……一体どこでそれを手に入れた!」
木乃美の……その新しい人格の挑発に対して相手が吠える。
何がどうなっているのかマルスには良く分からないが、どうやらあの武器から七発目がでることが問題らしい。
「おい、一体何が問題だって言うんだ」
「問題?問題だと!? 大問題だ! 僕の銃は発明王トーラ様が作った世界に7丁しかない! 内一丁は僕が、二丁はあの人が持っているがあと四丁はトーラ様が持っているはずなんだ……一体どこでそれを盗んだ!」
どうやら木乃美が持っている武器そのものが問題らしい。
そういえば先ほどの機械兵はあの攻撃を撃ち出すたびに金属の筒のような物を排出していた。あれが恐らく攻撃に必要な物なのだろう。
形は違えどこの二人が持っている武器はそれに準ずるようだ、しかし何も排出されない。それがもんだいらしい。
「いきなり銃突きつけて撃ってきたかと思えば、今度はこそ泥呼ばわりだあ? ふざけるなよ」
「黙れ! 魔王の手先が!」
罵声と共に再び相手の銃から攻撃が再開される、同様に木乃美もそれを撃ち落とし続ける。
構造上あれだけのものを撃ち出すのは確かにおかしい。本来は何かしら補給が必要なものなのだろうとマルスは推測する。
相手と木乃美の銃の撃ち合いはほぼ互角のようで、相手の撃ち出す何かを木乃美が正確に撃ち落としていく。
マルスだけでなくその場にいる全員が思わず動きを止めてその様子に見入っていた。
いったい何発撃ち出せるのかは知らないがこのままだとどちらかが倒れるまで撃ち合うことになるだろう。
膠着状態を破ったのは木乃美の方だった。右手で撃ち合ったまま左腰にあるもうー丁の銃に手をかけたのだ。
「めんどくせえ!」
「なんだと!?」
木乃美が左手の銃で相手の後衛を倒していく、相手も同じように木乃美の銃弾を撃ち落とそうとするのだが、先ほどまで撃ち合っていた右手がそれをさせない。
「今だ!走れマルス君」
「命令するな!」
好機とばかりにラドリオが馬車を走らせて、小鬼たちも走り出す。
相手の英雄たちもこちらを追いかけようとするが、木乃美の銃弾がそれを許さない。
「待て! 逃げるな! それをどこで手に入れた言え!」
「どこも何も元々俺の持ち物だ!!」
右手で相手の銃弾を撃ち落とし、左手で他の英雄を牽制する。
近距離型の英雄はライオットが邪魔で手が出せず、遠距離型は負傷者を救助しなければならない。
下手に頭を上げれば自分が狙われてしまう。
「くそ!」
マルスたちが谷の曲がり角に木乃美ともに消える頃には、苛立ち地団駄を踏むライオットと負傷した英雄たちだけが残された。




