22歩目「囚われの一同」
「お前は無敵だと思ったんだがな」
マルスから思わず笑いが漏れる。
前回の戦いの時に無類の強さを見せた彼女も相性次第にでこんなに簡単に傷つくことがどこかおかしかったのだ。
「……今回は偶々だ! あんな爆発するなんて聞いてない!」
「いいから引っ込め」
同時にマルスは一つ思い知った、闇だって万能ではないということだ。
相性一つでこんな風に怪我をするし、もっと別の方法、例えば遠距離からの狙撃ならば殺すこともできる。
「(そもそもだ)」
彼女の人格たちは怪我をしようと蘇ることができる。明らかに死に至るような傷だとしてもだ。
では木乃美自身はどうなのだろうか?
彼女の別人格と同じように怪我をした時は円卓で怪我を癒すのだろうか?あるいは……
「おまえたち! 動くな!」
マルスの思考は少しざらついた声によって遮られた。
気づけばマルスといつの間にか元に戻った木乃美の周りを小鬼たちが取り囲んでいる。
「お礼を言いに……という訳ではなさそうだな?」
「黙れ! 一緒に来てもらおう!」
「あー逆らわない方が良さそうだぜ? 遠くから弓でも狙っているみたいだしな」
ラドリオの方もいつの間にか小鬼たちに取り囲まれている。じっくりと見ればこの小鬼たちは先程機械兵たちに追われていた連中よりも装備が小奇麗だ。
恐らく追われていた彼らを助けに来た連中なのだろう。
「何を勘違いしているのか知らないが、俺たちはお前らを助けたんだ。この仕打ちはどうかと思うがな?」
「黙れと言っている。第一お前らの服は東の人間の国の者だ、俺たちは東の国と西の国が争っているのは知っている。差し詰めお前たちがピンチになったから俺たちの仲間に擦り付けたんだろう!」
小鬼たちは完全に頭に血が上っているようだ、実際緑っぽい彼らの顔にが赤みが差しているようにも見える。人間でいうところの激怒している状態なのだろう。
このまま話していても埒が明かないどころか、冷静さを失った小鬼たちに攻撃される恐れもある。しかたなくマルスは手を上げ、木乃美もそれに倣った。
「……ふん、それでいい。妙な動きはするなよ、大人しくしていれば俺たちは危害をくわえない……貴様らと違ってな」
小鬼たちに槍を突きつけられたまま、マルスと木乃美は馬車と並んで歩かされた。
馬車は負傷者や子供たちを乗せるのに使っているらしい。
本当は御者であるラドリオもマルスたちの隣を歩いているはずなのだが、馬車を引く馬、ジェニファーがラドリオの言うことしか聞かないため未だ御者台の上にいた。
「このまま谷の中に入れば俺たちの砦だ」
「……無事には入れればな」
小鬼たちの進む方向は、マルスたちがやってきた方向とほぼ同じだった。
そしてマルスたちを追ってきていた王国の連中が、帝国の情報を持っていてこちらに追い込んだのだとしたらもう一手打ってくるはずだろう。
ナインライフス、読みやすくなーれ作戦展開中。




