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15歩目「基礎魔法」

 当然のことだが、魔法にだって基礎はある。基礎かか学び法則を覚えてから、応用法を学ぶ。そして初めてより上位の魔法を学ぶことができるのだ。

 例えば剣を習おうとする少年がいるとしよう。彼の指導者は最初に彼に刃の突いた本物の剣を持たせて摸擬戦をやらせるだろうか?最初に本物を持たせること自体はやるかもしれないが、まず剣の振り方から教えていくことだろう。それも本物の剣ではなく模造剣でだ。何度も何度も素振りをさせて体を作ってから本格的な剣の降り方を教えていくことだろう。魔法もそれと同じだったのだ。

 緑の受け取った基本集に載っているのは、魔法の基礎とその法則、そして幾つかの簡単な魔法、それこそ薪に火をつける程度だとか、水を数リットル生み出す物だとか、物を人肌にあるいはひんやりと感じる程度に温度を調整する魔法だとか。あると便利だが魔法以外でも代用できるような魔法ばかりだ。

 仮の攻撃を想定しているのか先ほどのような囮の鼠操作する魔法や雪玉をぶつける魔法もある。これらだって使い方次第では武器になるがそれは『木でできた剣だって無抵抗な相手の後頭部叩き続ければ致命傷になる』というのと同レベルの話だ。

「だから、緑に出来るのはこれくらいかな……こくえんよ、てきをさえぎれ!」


 先ほどと違い緑の手から飛び出したのは小さな黒い球体。球体は相手の馬車の正面まで行くと黒い煙幕をまき散らす。通常の煙幕であれば駆け抜けてしまえばよい、だが魔法の煙幕は絶えず相手の視界を遮り続けるようだ。


「疾風の風よ、眼前の脅威を取り除き、我が視界を守り給え!」

「こくえんよ、てきをさえぎれ!」

 相手の魔法使いが煙を払うべく魔法を唱えるたびに緑が同じ魔法を重ねる。視界を完全にふさがれているにもかかわらず、錬金馬車の歩みはゆるぎないものだが正確にこちらの馬車を狙ってくる矢や追尾してくる魔法は飛んでこない。

「これじゃきりがないよ!」

 停滞を生み出し逃げるのに優位になったと思われたが現状を維持している緑が悲鳴を上げる。現状は飛び道具をどうにか封じたに過ぎない。少しづつではあるが敵の馬車は此方に追いつきつつある。

 先ほど相手の馬車と錬金馬車が衝突した時、木製の馬車はあっさりと粉々になったのに対して、錬金馬車はほぼ原形を留めていた。

 相手にとっては近づいて御者を無力化するか、あるは馬車を体当たりで破壊することでもこちらの足止めは達成できるのだ。対して緑たちは相手を振り切るか、馬車を無力化しなければならないが。この辺りは遮蔽物もない荒野で単純な速度で劣り、さらに敵の馬車を破壊するすべがない。

「安心しなって!二人が時間を稼いでくれたおかげで良いポイントまで逃げ切れたぜ!」

久し振りに更新失敗してしまいました。今日は大丈夫だといいのですが。

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