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一歩目「十字谷の決闘」

軽い登場人物紹介


木村木乃美

通称『魂の魔女』能力:不明

英雄化の影響で別人格が実体化するようになった少女。


マルス・ウル・ゲヘナ

能力:魂の魔王

世界に現れた9人目の魔王、口は上手いが尊大な少年。


実体化した人格の一人、能力:『軍神』

体格のいい赤い髪の少女、一人称は僕

高い近接戦闘力と直感的戦術眼を持つ、武器は両腕の盾


実体化した人格の一人、能力:名は不明だが知能系最上位

眼鏡をかけた知的な青髪の女性、一人称はわたし

頭が良く英雄に効果のある罠を使いこなす。


実体化した人格の一人、能力:名は不明だが魔法系最上位

ツーテールの小さな緑の髪の少女、一人称は緑

見ただけでその魔法を使ってしまうほどの魔法の天才。


実体化した人格の一人、能力:世界規格外

髪を背後で緩く二つに結んだ黒髪の女性、一人称はあたし

不思議な動く白髪部分があり、それが移動することによって規格外の速さと力を発揮する。


 勝負は始まる前に決まっているとはよく言うが、まさにこの場は彼女がこの場にやってきた時点で勝負は決まっていた。

 お互いに手の内は分かっている。相手は一人でこちらは大勢、さらに自由に人を配置することができる。彼らの仲間を足止めしていることも確認済みだ、あの『乗り物』は速いがそれでも一瞬でこの場に到着することは出来ない。

「通信兵、現在の状況を知らせよ」

「現在、魔王および従者を魔法によって足止めしております。しかし本当に足止めだけでよろしいのですか?弾幕に隙は出来ますが撃退用の魔法を使用しても」

「その一瞬をついて『乗り物』で脱出される恐れもある。とにかく隙を作らず魔法を撃ち続けろ!帝国の動きはどうか?」


 彼女が指定のポイントにたどり着くまではまだ時間がある。師匠謹製の魔法通信機のチャンネルを弄りながら、彼は敵を見据える。まだだ、もっと近づいてこい。


「帝国側に動きなし……本当に撤退したようです。並びに例の亜人種モンスター共の動きもありません。どちらもこちらが手を出さない限りは動く気配はないかと」

「よし、そのまま監視を続けよ。何かあったらすぐに知らせよ」


 通信を切り彼は今一度、目の前の敵を見据える。黄色と黒で彩られた服は背後の岩と影に交じって見えずらいが、彼にははっきりと彼女の流れる様な金髪と表情が見えた。


「笑っている。やはり狂人、状況が分かっていないのか?」


 救援は絶対に来ないし、こちらの指定した場所に来るために何か準備をした様子もない。服のほかには服と同色の頭頂部の潰れた周囲に日除けのある帽子……西部の帝国民がが良く被っているフロンティアハットだったか?それに腰に巻かれたガンベルトと二つのホルスター、そしてそこに納まった二丁の銃だけだ。


 初めて会った時と何一つ変わらぬ姿、まさか一対一の決闘などという言葉を本気で信じているのだろうか?それとも……

「何があろうとも僕には勝てるとでも?ふざけるなよ英雄殺しの狂人め、お前を殺し師匠の下に死体と銃を持っていく」


 思わず自分の銃に手が伸びそうになるのを抑える、今銃に手を伸ばせば彼女も銃を抜くだろう。そんなことになってはせっかくの計画が無駄になる。


 長い、あるいはわずかな時間の間に彼女は谷の中心にかかる橋に通りかかる。谷の中に谷があるこの場所はその形状から十字谷と呼ばれている、そう十字だターゲットを指し示す十字だ。彼女が橋の中央まで来た瞬間に橋が爆発して彼女が空中に放り出された。

「勝った!」

 彼の能力は『銃弾予測』撃たれた弾あるいは撃った弾の弾道を予測してみることができる。彼の目には自分が撃つ弾を含め無数の線が空中の彼女を貫く光景だ。


 それは必死だ。上の谷からの銃撃と下の谷底からの銃撃に加えて爆弾に仕込まれた銃弾が背後から彼女を襲う。さらに正面からの自分の銃撃だ、空中では碌に身動きは取れないし避けようとしても防ごうとしても何れかの弾が太ももや胸あるいは頭を射貫く。


 能力使用時の体感速度が遅くなる感覚を感じながら引き金を引こうとした彼は驚愕した。


 彼女は笑っていた、それでも得意げな笑顔を少しも崩すことなく。まるで手持ちの銃で如何にかできると言わんばかりの表情で。


 話はこの決闘の数日前にさかのぼる。



やっと第一話が終わり二話開始です。またお付き合いください。

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