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もう、恋なんてしない  作者: 桐島ヒスイ
第三部

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086 ー観花会・準備1ー





 男子寮と女子寮の親睦会が近付いて来た。毎年5月の終わりから6月の始め頃に全寮合同で開かれるこの親睦会を観花会という。

 これは男女の交流を目的としたもので、この交流会をきっかけに婚約に結びつくことも少なくない。そのため、婚約者のいない男女にとっては非常に楽しみなものだった。

 婚約者のいる者は裏方に回る。それが暗黙のルールだ。

 寮棟は広大な園庭を囲むように東西南北にそれぞれ二棟ずつ配されている。

 観花会はその園庭で開催されるガーデンパーティーである。園庭は薔薇が咲き誇り、香しい香りを放つ。

 

 少し変わっているのは、異性に免疫のない者のために緊張を和らげ、打ち解けることを目的に前半が仮面パーティーと規定されていることだった。

 始めはお互い顔と身分を伏せ、ゲームをしたりお喋りをしてダンスのパートナーを選ぶ。

 後半はダンスパートナーの前で互いの仮面を外して自己紹介をするのである。



 婚約者の決まっていない者は下位の貴族の次男・三男以下や庶民が殆どである。女性も子爵家以下の次女や三女以下が大半で、高位貴族の嫡子などが参加することは殆どない、気楽なパーティーだ。

 婚約者の決まっている者は基本的に会の運営に回るので下手をすると高位貴族が給仕係をやることになり兼ねないが、それも常の茶会等とは異なる点で、参加する令息令嬢たちには楽しみの一つでもあった。

 とはいえ、流石に給仕係等は婚約者の決まっている上級生の中の下位貴族の子弟が務めることになるのだが。稀に悪戯心を起こした公爵子息などが戯れに給仕係を飛び入りでやったりするので、学生たちは密かに期待している。

 そんなわけで、ローランドは当日の会場の給仕係に決まった。

 ローランドは学園入学前から婚約者がいたので一度も出席者としてパーティーに出たことはなく、毎年給仕係を受け持っていたので慣れたものだ。その実績を買われて今年は給仕係長に任命されてしまった。全給仕係の指揮や訓練を任されてしまい、地味に忙しい。

 本来であれば彼は子爵を継いだため、爵位を持たない公爵子息よりも身分は上になる。領主としての仕事もあり、寮祭の裏方業務などは辞退してもよい立場なのだが、学生でいられるのはあと一年半、来年以降は領主として本格的に仕事をしなければならなくなるだろう。寮の行事に参加できるのは恐らくこれが最後となる為、そのまま引き受けることにしたのだった。


 高位貴族の上級生たちは会場の飾りつけや料理の発注、会の進行などを担当する。

 ローランドは給仕係長として会議にも出席することになり、息を吐く暇もない程多忙だったが、パーティーの主催自体はいずれ自身が領地にて主催する際の良い勉強になると考え、積極的に参加することにしたため、苦ではなかった。

 アデレイドもローランドを少しでも助けたいと、給仕係の当番表作りや、マニュアルの作成を手伝った。



***




 高位貴族子女たちがパーティーの段取りをつけていく裏で、とある非公式同好会の会員たちがこっそりと会合を開いていた。

「よろしいですか、皆さま。今は正念場なのです……我らが会の宿願成就に立ちはだかるとんでもない壁の出現……しかし今こそわたくしたちの出番ですのよ」

 既に学院を卒業しているが今なお会の顧問として会員から絶大な支持を得ているナタリアの重々しい言葉に会員たちはごくりと唾を飲み込んだ。

「決戦は来月の全寮合同祭親睦観花会!我らがエリザベスさまとオズワルド殿下を急接近させちゃうぞ☆大作戦!を決行します!」

「「「「「おぉー!!」」」」」

 ……非公式同好会「第三王子と侯爵令嬢の恋を応援する会」の会員たちはやる気を漲らせていた。









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