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失敗知らず

作者: 瑞樹

 さて、最も弱い者というジャンルには一体どういう人間が該当するだろう。


 他人の意見に賛同するしかできない者だろうか。

 誰かにつき従うしかない者だろうか。

 誰かと一緒にいないと生きていられない者だろうか。

 人といる事を頑なに拒み続ける者だろうか。

 意見を何一つとして言えない者だろうか。

 勝利を味わったことの無い者だろうか。


 ―――僕はどれも違うと思っている。


 僕が思う、最も弱い者……それは失敗することを知らない者だ。負ける事を知らないと言いかえても構わない。負けを知らない者は弱い、それが僕の持論である。そして何を隠そうそれは僕の事だ。


 今迄僕は、失敗らしい失敗をした事が無い。それは小さな問題のミスをした、とかそういう話ではない。人生の節目節目での大きな失敗を今迄しておらず、人生の選択を間違えず、起伏の無い人生を送ってきた、という話だ。


 きっと他人から見れば心底つまらない人生だろう。僕も、特別自分の人生を楽しいと思った事は無い―――寧ろつまらないとさえ感じている。人生には酸いも甘いもあるものだと夢を見ていたかつての自分が今の僕を見れば、失望してしまうことだろう―――あまりにもつまらない人生を歩む僕に。


 安定を目指す僕は弱虫だ。冒険をしたがらず、絶対に失敗しないであろう道を歩み続ける僕は臆病だ。今迄まともな失敗をしたことのない僕は―――失敗を恐れて行動しない僕は負け犬だ。


 ―――だから僕は言うのだ、失敗した事の無い奴は弱い、と。

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