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現代社会のモンスターショップ奮闘記 ~そちらのお店から仕入れたスライム、服を溶かしてくれないんだけど、どういうこと!?~  作者: 田島ユタカ
第四章 異世界で買い付け

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異世界で買い付け その2

 見ての通り、この異世界にも俺達の世界で見かける文明の利器がある。


 特にお金のやり取りに関わるものは、先進国と遜色がないと言ってもいい。


 あのカードリーダーはバッテリー駆動で無線通信に対応してるため、電力と電波がある限り、どこでもお手軽にタッチ決済が出来る恐ろしい機械である。


 俺は震える手でポケットからスマホを取り出した。


 恐る恐るスマホをカードリーダーにかざす。


 チャラン、と軽快な電子音が鳴る。

 残念なことに決済が完了したようだ。


 電子決済は金の流れが記録されるから好ましくないんだけど、今はそうも言ってられない。


 支払い額を確認するためスマホの画面に目を向ける。


 全身に凄まじい疲労感が圧し掛かる

 思わず「はぁ~」と深い深い溜め息を吐く。


 そんな俺とは対称的に「毎度あり」とエルフの女性が明るい声で言った。


 続けて「ありがとうございます、店長」と反省の色が微塵もない、サミィの能天気な声をあげた。


 俺は「それは、どうも」と生返事。


 それにしても支払い額がいつもより多いな……。


 サミィ同伴で買い付けは過去に何度かあったので、勇害税については覚悟していた。


 ただ俺が気になったのは、徴収された税がいつもの五倍以上という点。


 俺は金をとられた悔しさで、倦怠感を払いのけてから口を開いた。


「あの……いつもより税金が多い気がするんですが……」


「はい。天城さんは最近、臨時収入のおかげで金持ちだから搾り取れるぞ、と魔王様からお達しがありましたので、いつもより多めに頂戴しました」


「何で俺の懐事情がバレてんだよ!」


「私が魔王に教えました!」


「何で俺の懐事情をバラしてんだよ!」


「天城さん。税金は、金持ちから取るのが定石ですよ」


「あなたの言葉には納得できますが、こいつ(サミィ)の借金を肩代わりすることは納得できません」


「同じセリフを何度も言って、飽きないんですか?」


「たとえ無駄だとしても、声を上げたい時があるものなんだよ!」


「天城さん、そんなに気を落とさないでください。勇害税は、所得控除できますから」


「徴税されないことが一番なんですけどね」


「そうはまいりません。私共は被害者なんです。勇者に村の秘宝を盗まれたんですから、その損失を埋めるためにも取れる時に取らないと」


「ひどいよ~、私だって好きで盗んだわけじゃないもん。その秘宝がないと魔王の居城に行けないから、仕方なく盗んだんだもん」


「そもそも勇者なんだから人様の物を盗むな」


「これも平和のための尊い犠牲なんです。それに強盗より、よっぽど平和的ですよ」


「その結果、魔王の甘言に乗せられてんだから呆れるよ」


 俺は身の内に湧き上がる苛立ちをぶつけるようにサミィを睨みつけた。


 当の本人は、涼しい顔してるのが余計に腹立たしい。


 秘宝窃盗の件については昔、サミィに散々愚痴ったのでこれ以上とやかく言うつもりは無い。


 ちなみに勇害税とは、勇者盗難被害補填税の通称。


 読んで字のごとく、勇者サミィによる盗難の被害にあった人達に支払われる損害賠償金を勇者たちから徴収するための科目。


 科目を作った張本人である魔王(アスラ)から聞いたから間違いない。


 唯一救いなのは、勇害税を徴収される場所は、盗難被害にあった居住地のみ。


 場所によっては、徴税に怯える事なくのんびり観光もできる。


 また損害賠償金は、居住地ごとに定められてる。


 これは当たり前のことだが、盗難被害と被害総額は比例するものの、盗まれた物品の価値にはどうしても差が生まれる。


 エルフの村の秘宝とどこかの街の平民の衣服一着では、その差は明白。


 被害総額が少ない一部の居住地は既に支払いを終えてるが、この村の被害は秘宝なので、いつ支払いが終わるのか見当がつかない。


 それなら、この村に近寄らなければいいだけ、と言いたいのだが、自然豊かで肥沃な土地と年中安定した気候で育つコーヒー豆と茶葉がうちの店には欠かせないのだ。


 ちなみに同じ物を遠く離れた都市部で買うくらいなら、この村で勇害税込みの値で買い付けた方が安く済む。


 だから無理やりサミィを追い返すようなことはしない。


 でも、買い付けは可能な限り安く済ませたい……というかサミィの後始末をしたくないから、買い付けは一人でやりたいのだ。


 異世界に来る度に思うが保護者というより保証人の気分だ。


「ふわぁ……天城さん、お話は終わりましたか?」


 律儀に俺とサミィの問答が終わるのを待っていたのだろう。


 エルフの女性は退屈で睡魔に抗ってるようだ。


「悪い悪い。さっさと農場に行こうか」


「は~い」

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