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現代社会のモンスターショップ奮闘記 ~そちらのお店から仕入れたスライム、服を溶かしてくれないんだけど、どういうこと!?~  作者: 田島ユタカ
第三章 夢見るサキュバス

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夢見るサキュバス その11

「アムさんが動画配信者になればよろしいかと」


「へ!?」


 素っ頓狂な声と同時に、アムさんの顔がこちらに向いた。


「配信者になって大量のリスナーを獲得すれば収入になりますし、男は選り取り見取り。リスナーの母数が多くなれば、アムさん好み男性も見つかる事でしょう」


「なるほど。若い男性ならどうにかなりそうですね。ですが……美少年の方は――」


「リスナーの中にいなければ、リスナーの親族に手を伸ばせばよろしいかと。確実とは言えませんが確率は上がりますよ」


「はぁ……天城さんって本当に人が悪いですね」


「魔族のあなたに言われたくありません」


「大人気配信者になる。実現可能かどうかはともかく、一番大事なことが抜けてます。大変申し訳ないのですが私、動画の配信や編集が全く分からないのですが――」


「ご安心ください。機材の準備から動画の配信まで指導する専門のサポートスタッフをご紹介しますよ。有料にはなりますが、アムさんの預金なら缶ジュースを買うようなものです」


「何だか怪しいセールストークみたいで不安です」


「専門のスタッフとは、天城家の傘下にある動画サービス会社の者です。身内びいきですが、名実ともに申し分ないかと」


「それなら直接ストリーマー契約を結ぶことはできますか?」


「いいんですか? うちの動画サービス事業って、俗な言い方をするとエロ動画投稿サイトですけど――」


「お断りします! 人前で素肌を晒すなんて、はしたない真似、私にはできません」


「そうですよね。ですからサポートスタッフの指導の下、配信環境の準備から動画投稿まで、きっちり養成します。編集に関しては、お金に余裕があれば委託してもいいでしょう」


「でも、私如きに配信者が務まりますか?」


「今の時代、異世界人の動画配信なんて当たり前ですからね。しかし、アムさんならルックスが良いので、顔出し配信すれば生活費を稼ぐことは可能だと思います」


 アムさんの顔は険しい。

 当たり前か。

 いきなり赤の他人から、配信者になれ、と言われて即答できる奴はいない。


 人に言われて二つ返事できる自己顕示欲の化身なら、とっくの昔に配信者になってるだろう。


「確かに初期費用はかかりますが、アムさんほどの容姿と資金があるなら十分に勝算はあります。失敗しても損害は軽微ですし、もし動画編集スキルを習得したなら副業もできます。一定間隔で遊興費の確保が出来ればしめたもの。ゆっくりとお好みの男性を探すもよし、再び推しに入れ込むのもいいでしょう」


「つまり配信者になることは、今の私がこの世界で生きるために必要な投資、という事ですか」


「そういう事です」


 アムさんは再び考え込んでしまった。

 心なしか、先ほどよりも表情の強張りが解けてるように見える。


 前向きに検討してるのだろう。

 俺としては、これ以上の提案はない。

 これでダメなら、さっさと退店してもらうだけ。


 そして変な相談者が来ないようアカウントも削除だ。


 サミィがゴネても魔王に頼めば、すぐにでも消してくれるだろう。


「店長!」


「どうしたサミィ?」


「私がアムさんのサポートスタッフやりたいです」


「え!? お前できるの!?」


「何ですか? その疑いの目はー。こう見えて昔、お金欲しさに動画投稿したりライブ配信したことがあるんですよ」


「へえ」


「私に任せてくれたら、うさんくさい専門のサポートスタッフよりもお安く請け負いますぜ。ひっひっひ」


「少なくともサポートスタッフは、今のお前よりも誠実だよ」


「店長にも分け前あげますから~。お願い!」


「商魂たくましいな。それじゃ、どんな動画を投稿してるのか見せてくれ。それを見て判断する」


「そんなのありません」


「そんなんで、よく立候補したな」


「だって垢BANされましたので……」


「原因は?」


「登録者数を一気に増やすために、きわっきわの水着を着て配信したらチャンネルが凍結しました」


「アムさん、こうならないように専門のサポートスタッフをご紹介します」


「サブ垢作っても、すぐ凍結されるんです」


「だろうな。端末も回線も同じなんだから」


「引っ越し代ください」


「自分で稼げ。業務時間外の事まで面倒見きれねぇよ」


「うう……せっかく収益化までこぎ着けたのに……」


 意気揚々と名乗りを上げたのに、トラウマを思い出して自滅したようだ。


 サミィの事は放っておいて、アムさんの様子は、と。


「天城さん! 私、動画配信をやってみます! だからサポートスタッフの紹介をお願いします」


「承りました、お客様」


「私、覚悟を決めました! 勉強もがんばります!」


「今から、そんなに気合を入れたらへばっちゃいますよ。それに勇者(サミィ)でも出来たんですから、アムさんなら大丈夫ですよ」


「それもそうですね」


「今は、成功した時のことを夢見ててください」


「天城さん、ありがとうございます! 私、こちらに相談に来てよかったです」


 紆余曲折あったけど、こうやって面と向かって礼を言われるのも悪くないな。


 今の俺には、満面の笑みを浮かべてお礼を言う、アムさんの顔がまぶしく見えた。

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