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現代社会のモンスターショップ奮闘記 ~そちらのお店から仕入れたスライム、服を溶かしてくれないんだけど、どういうこと!?~  作者: 田島ユタカ
第二章 オークED

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オークED その7

「オークED、つまり店長がオークとエンディングをむかえたいという訳ですね」


「ちげえよ! 俺はノーマルだ!」


「またまた~、私は祝福しますよ! そういう偏見はありませんので! 彼女の次は、彼氏作るのも有りだと思いますよ!」


「勝手にカップリングすんな! というかアスラとも、そういう関係ではない!」


「素晴らしいじゃないですか! 人間とオークの世界も種族も超えた愛! あ! ご祝儀はスタブのクーポンでいいですか?」


「お金どころか金券ですらねえのかよ! ご祝儀って言葉から教える必要がありそうだな!」


「え!? この世界では、男同士の結婚は文化じゃないんですか? BLとかスラッシャーって言葉があるのに」


「そういうのを否定するつもりは一切無いが、少なくとも俺の伴侶は女性を希望する」


「すみません」


「うーん、反省してるならいいか」


「店長、ボーイって年じゃないですよね。ボーイじゃないから、愛がないんですね」


「う、うん。まあ、そういう事でいいよ」


 サミィは嬉々とした表情でおぞましい事を言い放った。


 うーむ、今までは自主性を重んじてたけど、こうなったらお金に関わる常識だけでも叩き込んでおいたほうがいいか?


「ふーむ、天城さんがオレと……」


「おい、こっちを見るなミカヅキ。そして、その気になるな」


「大変申し訳ありません。天城さんのお気持ちにお応えしたいのは山々ですが何分、アレが機能不全なものでして」


「そうかそうか、助かったよ。というかお前、男もイケる口なのかよ!」


「うちの店には、少数ですが男性も来店されますので」


「た、大変だな……」


「初めは戸惑いましたが、まあ何とかなるものです」


「さすが超高級店のナンバーワン。客の選り好みはしないんだな。まあ最近はLGBTとかあるし、男性だから、という理由で追い返すには辛い時代だもんな」


「天城さん! それは、お客様に失礼です。お客様は、高い対価を支払ってでも素敵な一夜を過ごしたい、と考えて来店されるのです。ならば、我々もそれに応えるのが接客業の責務というものです」


「す、すみませんでしたあああああ」


 ミカヅキの真摯な言葉に俺は圧倒された。

 というか男も接客できるほどの溢れてる性欲が、どうやって機能不全に陥ったんだ?


 俺も近い将来、原因不明のEDになるのか?


 うーむ、その辺りはちょっと気になるな。

 ……いやいや、本筋からズレてどうする。

 気が重いけど、俺の口からEDの意味を伝えるとしよう。


 俺は周囲からの冷ややかな視線を浴びる覚悟を決めてから切り出した。


「よく聞け、サミィ。EDってのは一言で言うと、男性器が硬くならない状態だ」


「へ?」


「で、彼の、ミカヅキの男性器が元気にならなくて、みんな困ってるんだ。そこで現地人であるサミィに、その原因を特定してもらいたいんだ」


「だって、二十四時間発情魔のオークですよ?」


 サミィは何時になく真剣な顔をしてる。

 やはりオーク=変態という認識は正しいようだ。


「ちなみに冗談ではない。ほら、二人の様子を見てみろ」


 サミィは怪訝そうに、不安そうな奥井さんとあからさまに凹んでるミカヅキの顔に目を向けた。


 奥井さんはともかくミカヅキが元気ないのは、俺がNGワードを口走ったせいか。


 良心がチクリと痛む。

 ただ謝罪を口にするのは避けた。

 心から気にしてる事に対して、うわべの謝罪は傷口に塩を塗りたくるのと同等の行為だからだ。


 二人を眺めてるサミィは「ふむふむ」と柄にもない様子を見せている。


 程なくして「わかりました」とサミィが堂々とした口調で言い放った。


 奥井さんとミカヅキの顔が上がる。

 一体、何が飛び出してくるのだろうか。

 期待と不安が半々の何とも言い難い気持ちで、サミィの言葉を待つ。


「オークなんて若い女の子がチョロっと肌を見せるだけで、簡単に欲情しますよ」


「そんな単純な問題じゃなさそうだが……」


 期待外れの解答ゆえかミカヅキは顔を伏せてしまった。


 そして奥井さんはと言うと、顔中の血管がバチバチに走ってる。


 大方、『若い女の子』がNGワードなのだろう。


 地雷を踏み抜いたのは俺じゃないからフォローはしなくてもいいか。


「サミィ、具体的にどうするつもりだ?」


「それはもう、若くて美人の女の子が劣情を煽る格好するだけですよ」


「それじゃあ頼むわ」


「え!? 私がですか!?」


「当たり前だ。他の従業員に、危険な真似をさせるわけにはいかない」


「私も従業員ですよ!?」


「お前は従業員である前に勇者だろ? 困ってる民を助けるのが使命だろ?」


「それは、そうですけど……」


「まあ、どうしても他の子に任せたいと言うのなら仕方ない。その代わり特別手当は、その子に渡す。お前にはやらん」


「えええええええ!?」


「特別手当が欲しいなら、やれ。業務命令だ」


「私に危険が及ぶかもしれないのに!?」


「何を言うか。お前ならスラム街を裸で踏破するくらい余裕だろ? 適材適所という奴だ」


「わ、わかりましたよ! オークの一本や二本、私の若さと美貌でイチコロなんだから! ちゃっちゃと終わらせて、スタブで豪遊してやる!」


「おお、その意気だ。頼んだぞ勇者サミィよ」

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