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08_小説を書く。私は怒っている。

本題から少しそれて始まるのですが、

私は私を単一のものだとはまったく考えてはいません。

私とは私が私だと思っているのもの束。その便宜上の呼び方。

雑多なその中では、いつだっていくつもの感情や感覚があって、共鳴したり矛盾しあったりしている。


小説を書く理由だって、けして一つには絞れないのです。



◇ 私は怒っている。


怒り。

いろいろな種類の怒り。


私の場合、創作のモチベーションの根底には何らかの怒りがあるように思います。

怒りを伝えようとしているわけではないのです。

怒っている。だから書いている。本当にそれだけです。


具体例を書いた方がいいでしょうね。

私が怒ってきた物事のリストです。


・言語はクオリアを共有できないこと。(前回話したやつ)

・時があらゆるものを過去にしてしまうこと。(最近よく気にしているテーマ)

・人類がいつかは絶滅してしまうこと。(『ロリの惑星』の出発点)

・保護者的優しさが時として人間の自尊心を損なうこと(『幼女ワールド』の出発点)

・極限環境が人間の良心をすりつぶしてしまうこと(今文フリで書いている作品のテーマ)

・悪人がいないときですら悲劇的な連鎖が起きてしまうこと


まだまだ書こうと思えばありますけれど、いったんこのあたりにしておきましょう。



怒りから書き始めてはいますけれど、怒りのトーンが表立たないようにすることもまた心がけてきたことです。大前提として、私は楽しい作品を書きたいのです。エンタメが書きたいのです。それなのに、いつだって怒りが原動力になってしまうのは矛盾です。


でも私は怒りがないと、長い作品を書き切るのが難しい。

怒りは私に使命感をくれます。

「書かねばならない」

理屈抜きでそう感じるのです。

怒りが私に書けと言う。




◇ 私は悲しんでいる。


ところで、怒りという感情は悲しいという感情から発生した二次的感情であるという話があります。

そうかもしれないですね。


世界のままならなさに対する怒りは、つまりこの世界が悲しく苦しいものだという認識から来ているのでしょう。何か悲しいと感じた時、人はそれを『悲劇』として表明したくなる。古代からずっとそうなのでしょう。


私がもっとも悲しいと思っていること。同時にもっとも怒りを燃やしているもの。

究極的には、この世界がこの世界であることです。

わかりあうことができないことも、時の流れも、形あるものにいつか終わりが来てしまうことも、

すべてこの世界がそうであるからそうであるのだとしか言いようがないのです。


私にはそれが悲しくて、怒らざるをえないけれど、

同時に美しいことでもあるってのが、

腹立たしいのです。

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