29_ネコの毛が無限湧きしてくる。
家のいたるところにネコの毛があります。黒い服には絶対についていますし、当たり前のように茶碗にも入っています。
このエッセイで話すのは初めてですが、我が家には3匹のネコがおります。3匹もいるから毛だらけになっているのだと、そう思われることでしょう。
実態は違います。
1匹、毛繕いが異様に下手くそなネコがいるのです。
ブチという名前のネコがそうです。12歳の男の子です。いやまあネコ年齢で言えばだいぶ高齢ではありますが。
この子は生後1ヶ月ほどのときに、田んぼのあぜ道のダンボール箱に捨てられておりまして、それを我が家で保護しました。
というわけなので、少なくとも母猫とは1ヶ月未満で離れ離れになっているわけです。
母猫から毛繕いされた経験が少ないことが原因でしょうか。
子猫のころから、とにかく毛繕いが下手でした。というか、あまり積極的に自分の毛繕いをしていませんでした。主に人間の手で毛をすかれていましたから、当人としてもそれが当たり前だと認識してしまったのかもしれません。
いまだに、なかなか自分で毛繕いをしません。やったとしてもほんとうにざっくりとで、まったく毛を整えられていません。
その結果として。
彼の体には大量の抜け毛がまとわりついているのです。その大量の抜け毛とともに家中を歩き回るから、我が家は彼の毛でまみれているのです。
膝に乗せて撫でようものなら、手のひらには大量に毛が。
服にはもちろん毛が大量にからまるので、コロコロでのクリーニングは欠かせません。
スーツを着た日には油断していると、椅子に座っただけでケツが毛で白く染まります。夜の間は、ブチは主に椅子の上で寝ていますから。
外出先で服についた毛を見るたび、彼の毛繕いの下手さを思い出します。
まあ、結局、そこがかわいいって話ですけど。




