16_1999年の思い出。主に、近所の犬について。
子供の頃、近所に『チビ』という名前の犬がおりました。
子犬のときにつけられた名前らしく、実際にはチビでもなんでもない中型犬だったわけですが……まあこいつが、ずいぶんわんぱくなやつだったのです。
当時の私がだいたい身長1メートルほどだったはずですから、チビとは概ねサイズ感が同じだったわけです。
同じくらいの体の大きさの場合、犬の方が力が強いわけで、このわんぱく犬に捕まるとたいへんな目にあうのです。服は泥だらけにされ、顔はベトベトに舐め回されることになってしまうのです。
それがまあ、面白かったのですね。
チビの行動範囲は首輪のリードが伸びるところまで。土の上で飼われていたのですが、分かりやすいことにチビの行動範囲だけ1段土が掘られていました(多分常に走り回っているせいで、土が掘られてしまったんでしょう)。だから、チビが行ける範囲は見たらわかるのですね。そしてその範囲内には、「かつてぬいぐるみだったもの」なんかが落ちていたわけです。
このチビの行動範囲内を! チビに捕まらずに走り抜ける!
という遊びを会うたびにやっていました。
捕まると罰ゲームがあります。もみくちゃの刑に処されます。
またある時は、チビにわざとソフビ人形をあたえて、それをチビの領域内から取り戻すという遊びもしました。そのソフビ人形は永遠に行方不明になりました。多分チビが、彼の領域内のどこかに埋められてしまったのだと思うのですが……。
本当、わんぱくでかわいい犬でした。
チビの飼い主であるおばさんは、どうやら昼間は働きに出てしまっていたようで、チビはいつだって遊び相手に飢えていました。だから私がいくと、本当にはしゃいでいましたね。
帰ろうとするときがまた切ない。後ろからいつまでも、わほわほと声が聞こえてくるのです。まるで、もっと遊んでくれとでも言いたげな声で。それがまあ、子供心にも不憫でした。
何年か経って、近所のおばさんは引っ越していってしまいました。チビとも、それからは気軽には会えなくなってしまいました。
今でも時々、あのときのやや無茶な遊びを思い出します。
そしてかつて彼がいた付近を歩くたびに、今でもその土の下に奪われた(?)ソフビ人形が埋まっているのだろうか、などと思ったりするのでした。




