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パイロット作品集  作者: 怪人工房


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正義の味方なのにビジュが悪すぎて人気がないんだけど!?

第一章:100均ゴミ箱と美貌のテロリスト

火曜日。鉄壁豪の人生は、今日もお昼休みのアイドルの動画鑑賞以外、特にときめきがなかった。

「てか、鉄壁さん。またこの前の『ガーディアン』って化け物の話になってますよ」

隣の席の若手女性職員、田中さんが露骨に嫌そうな顔でスマホを見ている。画面には、完璧な横顔の美青年、ルーク・ヴァイスが映っていた。

「ルーク様がまた**『街の景観を乱す醜い生物に遭遇し、心を痛めている』**ってインスタライブしてるんですよ!ああ、尊い…」

豪は心の中で叫んだ。(おい!その「醜い生物」は昨日君たちが平和にランチできるように、夜通し戦っていた俺だぞ!)

アストラル・ノワールの目的は、美しいものを残し、醜いものを「浄化」すること。最近の彼らのテロは、**「建設中の、色のセンスが悪いマンションの破壊」**といった、どうでもいいものが多かった。だが、彼らが現場に立つだけで女性ファンが殺到し、現場は一種のパニックになる。

その時、警報が鳴った。テロ発生。現場は、人気のカフェが並ぶ「おしゃれストリート」。

豪は慌てて立ち上がり、個室トイレに駆け込んだ。

「くそっ、このタイミングで!」

豪が変身に使うアイテムは、なんと100円ショップで買った、取っ手付きのプラスチック製ゴミ箱である。これを胸の前で構え、「変身!」と叫ぶと、ゴミ箱がまばゆい光を放つ。

光が消えた後、鏡に映ったのは、体毛が岩のように硬く、頭部が扁平な、ゴリラサイズの黒い生物だ。これが正義のヒーロー「ガーディアン」。

「……なぜ、こんなにゴキブリっぽいんだ」豪は毎度、変身後のデザインに泣いている。しかも口から出る言葉は全てウホウホになるのである。

第二章:ファンサ重視の戦闘スタイル

現場では、リーダーのカイン・アッシュが優雅に立っていた。彼の目の前にあるのは、奇抜な色のオブジェだ。

「この蛍光グリーンのオブジェは、私の美しい瞳にダメージを与え続けている。これは美しい私に対するテロだ」

カインが指を鳴らすと、オブジェの周囲に空間の歪みが発生し始めた。

「待て!貴様らの美意識で街を壊すな!」と本人は言っているつもりなのだがウホウホ言ってるようにしか聞こえない

ドスドスドスッ!と鈍い音を立ててガーディアンが屋上から降り立った。着地の衝撃で周囲のカフェの窓ガラスにヒビが入る。

「…オーマイガー!またあの『汚物』!」カインはすぐに数メートル飛び退き、ポケットから除菌スプレーを取り出し、惜しげもなく周囲に噴射した。

「接触厳禁だ、ガーディアン!君の細胞から発せられる『醜さ』は、このフレグランスでは消せない!」

カインは攻撃の最中も、ファンサービスを忘れない。

「みんな、大丈夫かい?**(カメラ目線でウィンク)**こんな醜いものを見せてしまってごめんね。すぐにこのカインが浄化するから、目を閉じないで、僕の戦う姿を見ていて」

彼の戦闘は常に「いかに自分を美しく見せるか」が最優先だ。高速で移動し、美しい曲線を描きながら攻撃を避ける。対するガーディアンは、ガツン!ゴツン!と効果音の悪い肉弾戦。

「(ちくしょう、避けるにしても、もっと華麗に避けたい!)」豪は心の中で叫ぶが、全身ゴリラ+ゴキブリの体では、どうやっても動きがコミカルで汚い。

そこに、ライブ配信中のルーク・ヴァイスが加わる。

「カイン、待って!私のフォロワーが『カイン様とルーク様がツーショットで戦う姿が見たい』って言ってるから、ちょっとポーズを!」

「ええ、ルーク。分かったよ。じゃあ、背中合わせで、敵に背を向ける構図で。この方が僕たちの表情がカメラに映える」

二人は完璧な背中合わせのポーズを決め、ガーディアンに背を向けたまま、遠隔攻撃を放つ。

「(戦えよ!こっちを見て戦え!)」豪は、二人のイケメンが完全にファンサービスに夢中で、自分を見ていないことに絶望した。

第三章:非モテヒーローの悲哀

なんとか攻撃を叩き込み、二人のイケメンを追い払った豪だったが、事件後の市民の反応は最悪だった。

区役所に戻った豪は、再び田中さんのスマホを覗き見る羽目になる。

「ひどい!またガーディアンのせいで、ルーク様の服が破れちゃった!これ、限定品ブランドなのに!」

「SNSでも炎上してますよ。『#ゴキブリガードマン許すまじ』ってタグがトレンド入りしてる。みんな、あの化け物が街に来る方がテロだって言ってます」

田中さんは、スマホでルークの破れた服の画像を拡大し、「ああ、セクシー!」と恍惚の表情を浮かべる。

豪は、変身アイテム(ゴミ箱)をロッカーに隠しながら、心の中で泣いた。

(なんでだ!俺はゴミ箱変身で、文字通り身体を張って街を守っているのに!彼らはただ優雅にポーズを決めていただけだぞ!)

翌日、アストラル・ノワールから、挑戦状が届いた。挑戦状は、ルークがトップモデルとして掲載されているファッション雑誌に挟まれており、内容はこうだ。

「明日、夜9時。新築のデザインがイマイチな図書館を、我々が美しい光で満たす。君という醜い汚物も、光に呑まれ消え去るがいい。ちなみに、この雑誌の僕のページ、300万部限定だよ」

最後の煽り文句が、豪の非モテ心にクリティカルヒットした。

最終章:醜い存在の逆転勝利(物理的に)

夜9時。新築図書館の屋上。

ルークとカインが並び立ち、図書館を光のエネルギーで包もうとしている。周囲には、彼らの姿を一目見ようと集まった女性ファンたちが、危険区域ギリギリで歓声を上げている。

「ガーディアンは来ないね。やはり醜いものは、美しい光が怖いのだろう」カインは自信満々に微笑んだ。

その時、図書館の裏口から、豪が変身したガーディアンが、ゴミ収集車に乗って現れた。軽快なゴミ収集車のbgmと共に!!!!

「待て!テロリストども!」

ガーディアンはゴミ収集車から勢いよく飛び降りた。その姿は、夜の照明に照らされ、いつも以上に黒光りしている。

カインは絶叫した。

「待て!その収集車の横で変身するのはやめろ!環境が汚い!」

「うるさい!俺の戦場は、いつも汚物と隣り合わせだ!」

ウホウホ言いながらガーディアンは、これまでの鬱憤を晴らすかのように、がむしゃらに突進した。イケメン二人は、優雅な戦闘スタイルを崩さなかったが、ガーディアンの「汚い」攻撃に終始圧倒された。

ルークが高速移動で避けようとするが、ガーディアンは地面をなめるようなスライディングで足元を払う。

「ひっ!土埃が!私の高級ローファーに!」

ルークは悲鳴を上げた。

カインは、接近戦を挑むガーディアンに、大量の除菌スプレーを噴射。

「寄るな!そのゴキブリめいた体から、何が飛び出すか分からない!」

「俺はゴキブリじゃない!正義の味方だ!」

もちろん口から出るのはウホウホである。

豪は、カインが必死で距離を取ろうとしていることに気づいた。そして、閃いた。

ガーディアンはわざと、地面に転がり、図書館建設現場から出てきた泥とペンキを全身に塗りたくった。

「うわあああ!汚い!その醜さが増幅した!」

 カインは顔面蒼白になり、戦闘不能に陥るほどのパニックに。

その隙に、ガーディアンはルークに突進!

ルークは優雅にかわそうとしたが、ガーディアンはあえてルークに体当たり!

「ぐああ!私の完璧なセットが崩れた!」

ルークは髪型が乱れたことにショックを受け、変身アイテムを落とした。


 イケメンヴィランズは、ガーディアンの「醜さ」と「汚さ」という、彼らの美意識における最大の弱点を突かれ、完全敗北。二人はファンへの言い訳もできず、夜の闇に逃げ帰っていった。泣きながら…。

翌日。区役所。

田中さんはまた、スマホを見ている。しかし、その表情は心なしか冴えない。

「ねえ、昨日さ、ルーク様とカイン様、二人とも急に『体調不良』でSNSの更新止まっちゃった。しかも、現場に落ちてたルーク様のローファー、泥まみれだったんだって…ありえない!あの優雅なルーク様が、泥にまみれるはずがないわ!あの醜い化け物が、卑怯な手を使ったに違いない!」

(卑怯じゃない。泥まみれは、俺なりの正義だ)

豪は心の中でガッツポーズをした。

彼のロッカーの中では、今日も100均のゴミ箱が、次の出番を静かに待っている。

変身ヒーローなのに、どう見ても化け物にしか見えない豪の戦いは、正義のため。そして何より、イケメンに負けたくないという、小さなプライドのため、続くのであった。

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