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Noble Bright  作者: 桜惡夢
4/10

編成


 僧侶から“神官”“神官騎士”“聖騎士”を経て現在は“聖者”。賢者と対成す最上位クラスだ。

 ボーナス装備品も魔力を倍増し、マナの消費量を半減する白に金紋のイヤーカフス[輝績の陽環]、左手の人差し指に奇跡とアーツの威力等を倍増し、条件付きだが破格の固有スキル【蘇生】が使用可能になる[戦巧の祈環]、あらゆる状態異常に病まで完全に防ぐ固有アビリティを持ち、エーテルの吸収回復効果まで持った[潔壁の康環]を左手中指に、光属性の固有魔法【シャイン】の使用が可能になる刻印[至光の聖痕]を得た。

 更に、二つの刻印を得た事で刻印が結合、真化(・・)。【ダーク】【シャイン】に天属性の【アーク】まで使用可能、全能力を五倍にする【聖魔の天痕】に。強過ぎるのも困りものだ。

 装備品の効果で現在、マナの消費は十分の一に。マナ切れになる可能性は考え難い。マジでチート。


 神官になると奇跡に加えてアーツも使える様に。漸く、アーツの使い方を理解出来た。

 アーツにはマナ消費とエーテル消費とが有るが、今は何方等も使える。魔法とは違い、アーツの方は自分のクラスに限らず使えるみたいだけど、一度は本物を見ないと理解が出来無い為、使用は不可能。それが判ったのは他の生徒の使うアーツを見た事で理解する事が出来た為。中級以上のクラスのアーツとなると学園内では難しそうだ。



「宜しく御願いします、レイグリフ様」



 そう言って丁寧な挨拶をしているのは、ゲームのメインヒロインである第三王女エレオノール・ラ・スオウ・ド・ノーブルディネス、その人。

 可笑しい。何故こうなった?


 学園生活三十一日目。

 今日から二泊三日の野外演習。レイグリフの必死イベントが始まった──んだけど、どうしてなのか俺は王女と同じ班分けになった。

 本来であれば、一番遠い場所に居る筈なんだが。いや、悪い訳ではない。ある意味、これで生存する可能性は高まったと言える。

 ──が、冷静に考えてみる。

 ゲームでは王女に接触──隣接するだけで戦闘は終了したが、現実では襲来したモンスターを全滅、或いは撃退しなくては終わらない。

 教師達は半日は掛かる場所に待機する為、生徒で対処しなくてはならない。


 俺以外の生徒では一番レベルが高い者でも23。しかも見習いクラス。

 ゲームのヒロイン達は一つ上のクラスでスタートしていたのだが、現実では全員が見習いクラス。

 主人公達はレベル12。サボってたのか?


 ゲームでは襲来するモンスターはレベル20以上だった筈だから全滅が濃厚。しかし、教師達に説明出来る訳が無いし、野外演習は生徒のみで行うのが慣例だから下手な理由では中止にも出来無い。

 ……【パラライズ】の魔法で半数を麻痺らせて、強制的に中止させるか?

 いや、駄目だ。その時点で俺が力を失う。努力が無駄になる真似は出来無いし、別の意味で俺の死亡フラグが立つ事になる。それは嫌だ。

 …………つまり、俺が遣るしかないのか。

 まあ、王女を最優先で守るのなら問題は無いな。問題なのは生徒の被害に関してだが……レイグリフ(俺自身)という実例を知っている以上、見捨てられないか。面倒な事に為らないといいんだけどなぁ……




 野外演習中は五人から七人が一班となり、一緒に行動する事になっている。

 普通に考えるなら、男女半数ずつ、実力が均等化する様に分ける所だが、実際には同じ様な実力者を固める形で班分けされている。

 強い者が弱い者を守る、導く。その考え方自体は可笑しな事ではないのだが、現実問題として強い者にとって弱い者は足手纏い(・・・・)でしかない。

 何か起きた時は勿論、優先されるのは弱い生徒を助けるよりも、強い生徒の無事な生還。教師達さえ優先順位は明確だ。何故なら、弱い者は助けた所で孰れは死ぬし役に立たない。この学園の生徒達とは国を、民を守り、支える使命を背負った人材達だ。だから強さこそが価値となる。


 だから俺が王女と一緒なのは、そういう事。

 俺が早朝から夕食ギリギリまでダンジョンに潜る生活を送っている事は毎日、料理──御弁当を用意して貰っている食堂関係者なら誰もが知っている。隠してもいないしな。

 だから、ちょっと調べれば判る。判れば教師達が俺を如何に評価するかも判る。魔石の引き取りでも記録が残っているだろうしな。

 自分を鍛える事ばかりで個人情報を軽視していた事実は否めない。これは前世の弊害だな。技術的に個人情報が漏洩する危険性は低いと思い込んだのが落ち度だったのだと気付かされた。失敗した。


 まあ、今更文句も言えないし、何も出来無い。

 ただ、班の面子が可笑しい。


 ニルヴァーナ・フォン・シュヴァート。炎の様な綺麗な長い紅髪をポニーテールにしている侯爵家の四女で愛称は“ニーナ”。ゲームのヒロインの一人であるノインの同い年の腹違いの姉で、物語上でのラスボス以上の強敵。女生徒の中では背が最も高く175センチ。生真面目で勇敢で正義感が強いので軟弱な者は嫌いだが、差別意識は無い。貴士として弱き者を守る事に誇りを持つ。世話焼きで家庭的。クラスは“見習い騎士”。



「レイグリフは随分と手慣れているのだな」

「実家に居る頃は、よく森に入っていたからな」

「──と言う事は、洗礼前からモンスターを?」

「まあ、そうなるな」

「成る程な。あの見事な剣技も努力の賜か」



 セシリア・フォン・コルトバーン。南国の澄んだ海の色を思わせる透明感の有る淡い水色の長い髪は幻想的な印象を懐かせる。伯爵家の長女という事で在学中に結婚相手を見付けなければ御見合いになるという理由も有って男子達に対する評価が厳しい。彼女もヒロインの一人のライバル。生徒同士による模擬戦で脅威となったが、彼女さえ倒せば勝てた。クラスは“見習い魔法使い”。



(わたくし)、刃物は苦手なのですけれど……」

「基本は持ち方だよ。持ち方さえ間違わなければ、ある程度の事は出来るから」

「──ちょっ!? あ、あのっ、何をっ?!」

「こうした方が教え易いから我慢して集中する」

「こ、こんなっ……殿方と密着だなんてっ……」



 クラリス・フォン・ダーンヴァッツ。ゲームでは珍しい黒髪で、雪の様な色白の肌が美貌と存在感を際立たせる子爵家の五女。ヒロインの一人を選ぶと主人公の婚約者として登場するのだが、現時点では無関係。普段はクールな彼女だが強者との戦いだと思わず戦闘好者(バトルマニア)の一面を見せる。それは自分よりも強い男に嫁いで尽くす事が、彼女の幼い頃からの夢だから。クラスは見習い剣士。



「……きちんと教科書通りにしたのですが……」

「基本は基本だからな。状況に合わせて出来るかは経験が無いと判らない」

「……つまりレイグリフ殿は経験豊富なのですね」

「それ、態と言ってる?」

「……ふふっ、どうでしょうね」



 ティサロッテ・フォン・ヴィンフロット。彼女はヒロインの一人の同い年・腹違いの妹として名前が登場するだけ。現実では姉と同様で新興の男爵家の次女という事も有り活躍しようと行動的なのだが、空回りし易い。明るく元気でポジティブだが意外と打たれ弱い。愛称は“ティア”。モコモコしている癖っ毛が特徴の琥珀色の髪はモフリたくなる程だ。クラスは“見習い弓使い”。



「ねぇねぇ~、ボク、コレ苦手なんだけどなぁ~」

「残念だが、好き嫌いは赦しません」

「ブーブー! レイグリフ君の鬼ーっ!」

「文句は出来上がった物を食べてから聞こうか」

「おおっ、凄い自信! その勝負受けて立とう!」



 そして、愛称が“エル”でも有る王女。淡い金の長く美しい髪に整った容姿は生きた芸術品。王道。朗らかで真っ直ぐで努力家で優しくて割りと天然で子供っぽい一面も可愛らしいが負けず嫌いであり、意外と恋愛事にはアグレッシブでグイグイと来る。クラスは見習い僧侶。



「此方等は下味は付けないのですか?」

「モンスターにも肉食と草食、雑食が居るんだけど草食の新鮮な肉だと下処理をきっちりしておけば、下味は付けない方が美味しいから」

「そうなのですか? 初めて知りました」

「何事も経験だしな。食べたら、もっと驚くぞ」

「まあ! とても楽しみです!」



 ゲームのメインヒロインと重要なサブキャラ達が一緒に居るだけでも十分凄い面子だが、更に其処に隠しヒロインまでいる。

 フローラ・フォン・ファムハムド。真夏の深緑を思わせる柔らかなウェーブが特徴の髪が広がる様は深い森の中を思わせる。公爵家の血筋だが、近年は活躍が出来ずに数年前に爵位を失ってしまったが、まだ彼女自身は力と血は有る為、貴族に戻れる様に頑張っているが、同様に頑張った両親が亡くなった事実が一人娘だった彼女の心の翳りとなっている。おっとりな御姉さんっぽい温厚な彼女が垣間見せる自虐的に見せる弱さは若者には毒だった。主人公と前衛・後衛で同じで、その中から被らないクラスの設定だったからか、クラスは“見習い盾使い”。



「あら? 困りました。薪が足りないみたいです。予備も有りませんし……どうしましょう……」

「薪なら、森だから後で皆で集めれば大丈夫」

「木を伐るのではないのですか?」

「落ちてる枯れ枝で十分。燃え易いし集め易いよ。薪も伐採後に乾燥させてるから、よく燃えるんだ」

「そういうものなのですね」



 ──という訳で男1:女6の班に。教師いぃっ! 「良い仕事してますね~」とか言うと思うな! 遣ってくれたなっ!?


 ゲームではパーティーは五人制だったんだけど、それはダンジョンがメインになるから。ダンジョン以外ではマップ上に多くのNPCが居た。

 しかし、現実では制限は無い。パーティーという概念は有るけど、縛りは無いからだ。

 だから、この六人が一緒に居るのは不思議だが、可笑しくはない。

 …………いや、正直に言おう。可笑しいから!


 ゲームでは恋愛パートの関係でヒロインの中から1人を選んで進む形にはなる為、仕方が無い。

 だから、現実だと繋がりが有るのなら一緒に居る事は何も可笑しくはない。王女の護衛という意味も有るし、昔からの顔馴染みの可能性も高い。

 いや、寧ろ、既知ではない方が可笑しいのか。


 ……そういった場には殆ど顔を出さなかった俺が変わってるだけで、子供だろうが貴族社会に於ける繋がりは生涯に及ぶのだから蔑ろにはしないもの。家族からも言われてたなぁ……皆、御免なさい。

 今更ですが、反省はしました。


 ただ、言い訳もさせて貰いたい。

 クラリスは物静かでミステリアスで孤高な方で、ティアは陽キャだけど貴族社会に馴染めておらず、フローラに関しては複雑な事情から他の生徒達とは距離を置いてる……筈なんだがなぁ……見た感じ、仲は良さそうだ。とても親し気だ。

 いや、悪い事ではない。寧ろ、良い事だ。連携や意志疎通が出来無いよりは圧倒的に良い!


 ただ、他にも大きな疑問は有る。

 それはゲームではヒロインは見習いクラスからのスタートではない事。一つ上から。だから強いし、序盤では主人公よりも活躍する場面が確実に多い。主人公が空気感は泣けてくる位にだ。

 それが何故か見習いクラスに下がっている。

 まあ、ゲーム的には御都合補正(・・・・・)が有った可能性も考えられない事ではないが。

 実際、俺も含めた生徒全員が見習いクラスから。余程の才能と努力をしていなければ、そういった物なんだと納得する事は出来る。


 話を戻して。

 見習いクラスではあるが、彼女達は全員がレベル20台に達している。他に20以上の生徒は居ない事からも、この班編成は仕方が無いのだろう。

 他のヒロイン達を含めて、この六人と並べたら、確実に実力が劣るし、邪魔になる訳だからな。


 だがしかし、俺以外の野郎共(男子諸君)に問おう。

 今日まで御前()達は何をしていたのかな?

 笑顔でアイアンクローしながら、そのまま頭蓋骨まで握り潰して殺りたい。

 ……男は見捨ててやろうか。そう本気で思う。

 まあ、実際には見捨てる事は出来無いんだけど。文句の一つも言って遣りたくなる。



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