湊との出会い(2)
「急がないと待ち合わせ時間に遅れるー!」
遼河は朝ごはんを食べて駿佑との待ち合わせ場所に急ぐ。
「な、何とか間に合った?」
「まあギリギリセーフだな。とりあえず学校向かおうぜ」
駿佑と合流して2人で学校に向かう。
駿佑の家から学校までは歩いて10分もかからないくらいだがその短い間でもこうやって落ち着ける時間があるのはありがたい。
ふと駿佑に
「遼河、お前体調悪いのか?さっきから少し足元が危ない気がするんだが」
と指摘された。
「ちょっとね。昨日の夜久しぶりに夜更かししちゃったから寝不足でね。」
と答えておいた。
実は駿佑にすらあまり自分からは昔のことについては相談することは無かった。
流石に心配させるのは悪いと思って。
クラスに入るとまず最初に湊が目に入った。
彼女は昨日の時点で注目を集めていたので人が集まるだろうなとは思ってはいたけど、予想以上に人がいたので流石に怯んでしまった。
輪の中にいる湊を見た時僕は彼女の違和感に気がついた
…笑っているけど本心ではかなり辛そうな感じが出ているのが
「多分湊は無理してるんだろうな」
僕は学校の中では忌むべき存在のようなものなので声をかけることは出来なかった。
時間が経つのは早いものでいつの間にか放課後になっていた。
流石に湊と正々堂々と一緒に待ち合わせをして帰る勇気はなかったので、近くの公園で待ち合わせることにした。
「ごめん、待たせちゃって」
湊は小走りで遼河のいる方向に向かっていく。
「大丈夫、僕も学級委員の仕事があってついさっき来たところだから」
少し歩いたところで遼河は湊に聞く。
「学校で無理して輪の中にいないか?」
「えっ?私は、別に無理してなんていないけど?」
「だったらいいんだ。今日の中村さんなんか表面上では笑ってるけど、内心辛そうにしてるように見えたから。」
すると、湊は
「やっぱ隠しきれてなかったのね。音川君の言う通りだよ。私、人と話すの少し苦手だから」といって笑った。
僕が少し驚いたような顔をすると湊は
「私が人見知りなのがそんなに意外なんですか?」
と半分キレられた。
僕は、「中村さんって昔からこういうことには慣れてそうだったから少し意外だなって。」と言って弁解した。
すると湊に
「私は小学校の時は真逆で地味な女の子だったんだから。
よく図書室に入り浸ってるような人に会話がまともにで きるとでも?」
と何故かさらにキレられた。
結局は遼河が謝って湊の怒りは収まった。
そして遼河はふと思う。
「やっぱりあの子は何か抱えてるな。でもなんで僕と話す時だけあんなに素で話すんだろう」と。
他愛のない会話をしているうちに湊の家の近くまで来てしまった。
そろそろ別れようとした時、湊は側溝の段差に足を取られて転んでしまった。
「中村さん大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
「ちょっと足を擦りむいて痛めてしまった位なので大丈夫です。」
そう言って湊は立とうとしたところ、どうやら足を捻っていたようで辛そうにしていた。
「肩貸しますか?中村さんの家までまだもうちょっとあるので」
「お願いしてもいい?でも家に行っても湿布とかあったかな?」
「だったら僕の家に来ます?うちなら湿布は大量にあるので…もちろん嫌だったら別にいいんですが」
ということで遼河と湊は遼河の家に向かうことになった。