3話 相談と確認
転生はしたい、でもフォルティナ様が転生者に求めていることを成し遂げるための知識や技術が私にはないのだ。このままでは転生者として選ばれないかもしれない…。
なんて不安に思っていると
「まぁ、そこは心配しなくていいよ!その辺は転生時に授ける能力で上手くやれると思うから!」
…本当に大丈夫だろうか。神様を疑うなんて不敬もいいところだが、言い方が軽すぎて少し心配になる。
「分かりました。フォルティナ様がそう仰るのでしたら、私でよければぜひ転生させてください!少し時間はかかると思いますが期待に添えるように頑張ります!」
私がそう言うと、とびきりの綺麗な笑顔で
「本当!?ありがとう!」
と嬉し気に言ってもらえた。ここまで喜ばれるとは、受けて良かったと思える。
「じゃぁさっそくだけど、まずはどんな形で転生するかだね。身分差がはっきりしている国が多いから、希望するならどこぞの王族か貴族の生まれにも出来るけど、どうかな?」
さて、まずは自分の生まれについて相談に乗ってくれるようだ。
なんて至れり尽くせりな転生だろうか。
しかし希望を聞いてくれるというなら、しっかり相談させてもらおう。
「まずお聞きしたいのですが、必ずどこかの家の子として生まれる必要はあるのでしょうか?可能なら、誰の子でもなく10歳くらいからスタートしたいと思っています」
「ふむ、もちろん出来るけど理由を聞いてもいいかな?」
「はい。まず身分の高い家の子として生まれた場合、金銭的には困らない生活が出来るかもしれませんが、おそらく自由は少ないと予想します。そうなると、フォルティナ様の望みである世界の発展に注力しにくいかと思います。仮に私がそこで何かを発明したとしても、政治的に利用され、無駄な争いを生みかねませんし」
まぁ、本物の貴族なんて現代にいないので、あくまで想像だが。
「なるほど!確かにそうだね!他人から下に見られることが少なくなるから良いかと思ったけど、目的を考慮すると良いとはいえないね。そこまで考えてくれてありがとう!」
この神様、ちょっとのほほんとし過ぎではないだろうか。大丈夫だろうか。
(私がしっかりしなければ…!!)
あすかはちょっぴり心配になった。
「あと、誰の子でもなく10歳頃からスタートしたいのは、私が20歳前後で不老不死のスキルを使用するつもりというのが理由です。20歳頃から容姿が変わらないなんて、いつか異常に思われるに決まってます。家族となる人たちから不気味がられるのはちょっと…。なので、身体を鍛えたり、身の回りのことを自分でするのにちょうど良さそうなのが10歳頃かなと思うので、可能ならそれでお願いします」
「うんうん、なるほどね!納得の理由だね。じゃぁ転生はそのようにしよう!」
よし、ここまではとりあえず希望通りだ。
「それでスキルなんですが…そちらの世界でスキルとはどういうものなんでしょうか?地球には存在しないので。魔法を行使するためにはそれに応じたスキルが必要ですか?言葉なんかも心配です」
右も左も分からない世界に転生するのだ。
この辺りはしっかりと確認しておかなければ。
この質問にもフォルティナ様はしっかりと教えてくれた。
まず、大前提として向こうでの生活に困らないように文字の読み・書きと一般常識は転生時に自然と理解できるようにしてくれるらしい。
そしてあちらの世界でのスキルとは、生まれつき授かっているスキルと、個人の努力や就いた職業などによって後から取得できるスキルがあるらしい。あと、まれにダンジョンの宝箱からスキルブックというものが出て、それを使用して覚えられることもあるそうな。
(いや、さらっと言ったけどダンジョンもあるのね…)
生まれつきのスキルは全ての生物に必ずひとつ以上は授けられるそうで、スキルの内容はフォルティナ様の下についている神様方がランダムで授けてるそう。ちょっとしたガチャじゃんと思ったのは心にしまっておこうと思う。あと、フォルティナ様以外にもいるんですね、神様。
まぁでも後からの努力でスキル増やせるなら、別にいいのかというとそうでもないらしい。
生まれもってしか得られないスキルもあるそうだ。
そうなると、有用なスキルを持って生まれた子は無理矢理家族と引き離されて貴族の養子にさせられたり、逆にお金に困窮した家族が貴族や裕福な家に子供を売ったりしているらしい。
フォルティナ様としても、気分は良くないが一度決めた世界の理を変えることは出来ないそうなので、見守るしかないそう。
比較的平和で豊かな日本でも、不幸な人はそれなりにいる。
神様がいるなら、助けてほしいなんて願ったことのある人もたくさんいるだろう。
でも、何かしてくれたことなんてない。
神様もなんでも出来るわけじゃないんだね。
さて、話がそれてしまったが、次は魔法についてだ。
基本となる生活魔法というものは全ての人間、亜人が不自由なく使えるように出来ているらしいが、魔法を行使するための魔力が生まれつき多い者と少ない者とがいるようだ。
生活魔法以外に、属性魔法というものがあり、こちらは適正がないと初級魔法ぐらいまでしか満足に使えないそう。適正があっても、魔力量が少なければ意味がないらしい。
ちなみに、ある訓練すれば魔力量は増やすことが出来るらしいが、全然知られていないってさ。
なんでやねん。
「と、まぁこんな感じだけど他に質問はあるかな?まぁ後から浮かんだら聞いてくれればいいからね。さて、それじゃぁさっそくスキルや魔法の適正を決めていこうか。メニューの続きを開いてごらん」
とりあえず今すぐ聞きたいことは聞けたので、言われた通りにメニューの続きを開く。
いつのまにか、手元にメニューがあったことはもう何も言うまい。
「そこに君が転生時に取得可能なスキルを説明付きで載せてるから好きなのを選んでね!あ、ちなみに5個まで選んでいいよ!時間はまだあるからじっくり悩んでね」
本当に至れり尽くせりだな。ありがたや。
さて、ではしっかりと考えて選びましょうか!