22話 攻めてもいい
「えぇ・・・?」
ユキとソラが二人で話していた内容はこうだった。
少なくとも三人の力を合わせれば、多少の格上相手に挑んでもそうそう遅れは取らないから、今後はダンジョンで自分たちよりも格上を相手にしてレベル上げを重視してもいいのではと。
理由としては、このまま格下を相手にしていても、レベルがなかなか上がらないこと。
そもそも、私の鑑定があれば、相手のレベルやスキル、魔法の有無は分かるのである程度の安全は保証されること、最悪転移で逃げられることが上げられた。
あと、ついでにというか多分これが一番の理由な気がしないでもないが
「もっと色んな美味しいものが食べたい」
だそうだ。
ふぅ、初めてのお肉で食に目覚めさせてしまったようだ。
でも私は、確かに…と考える。
正直、このペースではレベル上げに時間がかかるだろうし、ソラが加入したことで、パーティーの戦闘力はかなり上がったといえる。
先日フォルティナ様に会ったことで、少しでも早く人里を目指したいとも思っていた。
そして言うまでもなく、私ももっと色んな美味しいもの食べたい。
私は様々なことを鑑みて、二人の意見を取り入れることにする。
「そうだね、分かった!無理はしないけど、どんどんダンジョンの下層へ進んでレベル上げと経験を積んでいこっか。」
それからは、今までの慎重さが嘘のように(召喚魔が優秀すぎたというのもある)どんどんダンジョンを進めていった。
ドロップも牛乳や卵など待望の食材がドロップしたり、下層にいくに連れて、食材だけではなく魔物素材や、鉱石類が多く手に入るようになっていった。
それらを使って、食事内容を充実させていったり、武器や島の設備もグレードアップさせていったりした。
ただ、あくまでも地球の知識や技術を魔法やスキルを使ってごり押しで実現しているものが多く、この世界の発展という観点から考えると、私にしか作れないものでは駄目だという問題にも直面している。
まぁ、その辺は少し考えていることがあるんだけれど…
どちらにしても、まずは人里に行ってこの世界のことをもっと知らなければ何も始まらないだろう。
調味料もこの島ではほとんど手に入らないし。くすん。
そのためにも、今はひたすらレベル上げとスキルレベル上げだぁ!
新たな発見としては、私抜きで召喚魔だけがダンジョンに入って戦闘しても、ドロップはするけど、経験値は入ってこないことが分かった。
世の中そんなに甘くないということだ。
それでも、私が作業等でダンジョンにいけない時に暇を持て余した2人がダンジョンに行って戦闘訓練や連携の確認をしたりしているようなので、好きにさせている。
格上の階層には絶対に行かないように約束させて。
たまに、新しいスキルを覚えて帰ってきたりするので、そんな時はうんと褒めて好きな食べ物を用意してあげたりしている。
そんな感じで、なんやかんやと忙しくしていたら、この世界に来て2年が経っていた。




