14話 レベルアップ
偶然見つけたダンジョンの探索を進めてすでに2時間ほどが経っていた。
今は辺りに警戒をしながら水分補給をかねて休憩している。
今のところこの第一層で出会った魔物はスライムだけだった。
おそらく20体ほど倒している。
たまに単体ではなく2体出てくるが危なげなく倒している。
ドロップは、最初に出たダンジョンじゃがいもの他に、無属性魔石(極小)が出た。
魔石の使い道は魔道具が主なようだが、極小の魔石となると今のところあまり使い道はないようだ。
この辺りも新たな使い道を探せればこの世界の発展にもつながるのではと思っている。
ずっと通路をまっすぐ進んでいたのだが、途中で左右に曲がらざるをえない場合は右に進むようにしている。
ダンジョン内のマップが変わることは基本的にないというのが常識なので、できればマッピングしながら進みたいのだが、頭の中になんとなく思い描くだけになっている。
この世界、紙は一応あるのだが、まだまだ高級品扱いで平民レベルだと気軽に使えるということはないようだ。
私の場合は、神様がかなりの数を用意してくれていたのだが、残念ながらペンがまだ発達していない。
いわゆる羽ペンである。
そうなると、ダンジョンや森を探索しながらのマッピングは無理なので、ある程度頭に思い描いて、帰ってから覚えている範囲で書くというのを日課にしている。
ただし、こうやって地図を思い浮かべながら移動をしているとそのうちマップのスキルを取得できる可能性があるので、それに期待している。
マップがあれば、わざわざ紙に書く必要もなくなるからね!
あと、周囲を警戒しながら探索していると気配察知、身を潜めていると隠密、など自分の行動次第で新たなスキルを取得できるはずなので、その辺りも取得できればいいなと思っている。
実は夜カフェで見たメニューも神様が拠点の書斎に入れてくれていたのだ。
1ページ目の異世界転生付きケーキセットというのはもう消えているが、それ以降のページのスキルの説明や取得条件が書いてある部分が有用すぎて、ありがたく熟読させていただいている。
簡単にスキルが増えるわけではないが、これから長い予定の人生だ、取れるだけスキルを取りまくるのもいいかもしれない。
目指すは最強の不老不死なので。
さて、水分補給も終わったので探索に戻ろうかと思ったが、どうも先ほどのスライムを倒した後ぐらいから、少し体が軽くなったような感じがしている。
もしかしてと思って私は自分に鑑定をしてみた。
「やっぱり!レベルが上がってるぅ~♪」
初めてのレベルアップにテンションが上がる。
ゲームと同じで最初は上がりやすいのだろう。
雑魚敵のスライム20匹程度でレベルが上がったのであれば上出来だろう。
攻撃力や防御力などの詳細は数値化させていないが、体感的に上がっているのをちゃんと感じるのでレベルアップの恩恵というのはあなどれない。
私が一人むふふ♪と喜んでいると、ユキが何かを訴えかけるようにペシペシと私の肩をたたいた。
「ユキー?どしたの?」
「ウッキキィ!」
「え?ユキのことも鑑定しろって?」
「ウキッ」
自分を鑑定しろと言っているようなので、私はユキにも鑑定をかけた。
「あ!ユキもレベルが2になってるぅ!!」
「ウッキィ♪」
そう、ユキは戦闘していないにも関わらずレベルが上がっていた。
「あ、そういえば召喚魔って召喚主のレベルアップに合わせて上がるんだったね。うんうん、私頑張ってレベルアップするからね!」
「ウキキ?」
「え、ユキも戦いたい?うーん、スライムくらいなら大丈夫だろうけど心配だなぁ」
「ウキィ!!」
私がユキの戦闘をしたいという気持ちにあまりいい反応を示さなかったからだろう。
ユキが抗議するように訴えてきた。
ユキいわく、スライム程度には負けない。
レベルが上がっても戦闘経験がなければ、この先あるかもしれない危険なことに対処する能力が育たない。
そして何よりも、私とともに強くなっていきたいのだと言ってくれているようだ。
うちの子、可愛いだけじゃなくいい子すぎんか?
「ユキィ~!ありがとう!そうだよね、私たちこれからも一緒にいるためにも一緒に強くなってこうね!」
「キキッ♪」
ユキとまたさらに絆が深まったような気がする。
そこからさらに1時間ほどダンジョンを探索した。
今度はユキにも戦闘に参加してもらい、隠密でスライムの背後を簡単に取り、爪で引っ掻くように核を攻撃してスライムを倒していた。
ドロップ品が手持ちのカバンに入らなくなったところで、私たちはダンジョンの入り口に転移して、ダンジョンを後にした。
「とりあえず第一層は今のところスライムしかいなさそうだね。ドロップも結局あの2種類しか出なかったし。でもじゃがいもゲットは嬉しい♪日持ちもするし、色んな使い道があるからね!」
「ウキッ♪」
ダンジョンから出てきた私は、出会った魔物がスライムだけということもあり思いのほか元気だった。
本当はもっとしっかり準備してダンジョンに挑むべきだったのだが、予想外のタイミングで見つけてしまったダンジョンにテンションが上がり、そのまま探索してしまった。
このまま山の頂上を目指そうかとも思ったが、今日のところは一旦拠点に帰ることにした。
次にスムーズにここに戻ってこられるよう、ダンジョンの入り口付近を目に焼き付けてから、転移で自宅まで一気に戻った。
油断したつもりはないが、何事もなく帰ってこられてよかったと思う。
無事に自宅に戻った私は、クリーンで自身の汚れを落とし、ベッドに横になった。
疲れていないと思っていたが、初めてのダンジョンに初めての戦闘。
思いのほか緊張していたのだろう。
いつの間にか私は夢の中へと誘われていた。




