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暴走少女 4
見た目とは裏腹に気持ちよく寝ている目の前に男に、再度声をかける。
「いい加減起きて下さい!もう朝ですよ!!」
割かし大きめの声で、起こすように、少し呆れたように。
「・・・んぁ」
何と間抜けな声なのか。
ようやくお目覚めのようだった。
気だるそうにモソモソと、オフィスチェアーから動き始めた。
漆黒色の髪の毛はボサボサで、両目は半開き。
これまた黒いスーツに白のカッターシャツのまま眠りこけていたようだ。
おかげで、スーツはあっちこっちに方向がズレてシワになっている。
「おはようございます。カナリアさん」
「おはようございます。寝坊助さん」
ふぁぁ、と控えめな欠伸を挟む。
「黒入さん、貴方の髪型と服装がめちゃくちゃですよ」
「あぁ、この格好のまま眠っちゃってて。お恥ずかしいところを」
後頭部をポリポリと搔きながら、カナリアをあしらう。
多分、全然恥ずかしがっていない。
まったく・・・、と肩を竦める。
「それで今日はなにか用ですか?」
黒入は姿勢を正しカナリアに向かい直す。