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暴走少女 1
「・・・スー・・・スー」
黒入行人とは、事務所のレザーのオフィスチェアーにふんぞり返って寝ている。
態度の割には、可愛らしい小さい寝息が聞こえてきた。
日中にも関わらず部屋は全体的に暗く、物が散乱しごちゃごちゃしている事務所のオーナーである。
事務所中央にある長テーブルには、読みかけの雑誌、新聞、コップ(コーヒーでも飲んだのだろうか?)が机いっぱいに占領していた。
黒いカーテンは閉めっぱなし。
換気もしていないため、なんだか空気が淀んでいる。
現在の時刻、午前九時。
常人ならとっくに起床し、仕事を始めているくらいの時間だろう。
しかし、私の目の前の男は起きる気配もない。
勝手に事務所に入って(しかも扉の鍵は開いていた)、数回名前を呼んでも起きやしない。
この寝坊助を一体どうしてやろうか。
そんなことを思いながら、ふと視線を長テーブルに向けてみる。
出版社が違う雑誌三冊と、銘柄が違う新聞三紙があり全ての表紙には、最近起こっている連続事件の見出しが書いてある。