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テーマ詩集:ホームセンター

柄杓

作者: 歌川 詩季

 北斗七星を想い起こします。

 長い尻尾をした丸桶め

 おれは柄杓(ひしゃく)ってやつが たまらなく好きだ



 (はや)く走る獣のなかには

 あんな長い尻尾をはやしたやつもいるけど

 どんなにけしかけてやっても あいつときたら

 ちっとも走り出しやがらねえ


 か細い尻尾に似合わねえねえほどの

 でっけえ丸桶をつけてやがるとおもえば

 ()んだら ()んだ

 溜めたら 溜めたぶんだけ

 どっかに(そそ)ぎこんじまいやがって

 あいつときたら たいてい

 渇ききってさ すっからかん

 しようのねえ やろうだぜ


 だけどあいつのでっけえ丸桶は

 まるで すくいあげる てのひらだ

 水もれひとつない あいつの丸桶とくらべたら

 おれの両手なんて 指をかたくとじたって

 ざるみたいなもんさ

 そんなのなんだか しゃくにさわるよな


 だけど あいつの長い尻尾は

 だれかに にぎられるのを待ってんだ

 いくら かたくとじたところで

 ざるみたいに水もれしちまう

 おれの両手にならんだ指でも

 おまえの尻尾ならにぎってやれる

 

 にぎってほしいんだろ?

 丸桶に水をたっぷり()んで

 長い尻尾を ぴんとのばして 待ってやがんだろ?

 そんならなんだか かわいげもあるよな


 だから おれはそんな柄杓(ひしゃく)が好きなんだ



 長い尻尾をした丸桶め

 おれは柄杓(ひしゃく)ってやつが たまらなく好きだ

 天の河から、北斗七星の柄杓で星を掬うとか、いいかも!

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― 新着の感想 ―
[一言]  その長い尻尾の分だけ、我が手には届かぬ所にも。  湛え溢れる己の身の内を、欲する所へ動かす力を。  持ちつ持たれつ。  いい関係ですね。
[一言] たしかに北斗七星は柄杓ですね。 あとがきの、天の河から星をすくうという発想がとても素敵だなぁと思いました。 あまり柄杓が日常生活で出てくるタイミングが多くなくて、自分の中ではお墓参りのイメー…
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