プロローグ
小説家になろう自体全く見た事無かったんですが、勢いで投稿しました。よろしくお願いします。
〜この世界では魔界から進行してきた魔王率いる魔族の軍勢が世界を征服しようとしている。
世界中で行われる魔族の蛮行。
人間やエルフ・ドワーフ等の様々な種族達は魔族に対抗するため、国の軍隊とは別に冒険者ギルドを立ち上げていた。
冒険者達は軍隊では回り切れない様々な魔族関連の問題の解決や迷宮の探索を行い、功績を残した冒険者は人々の英雄であり憧れの存在となっている。
これはそんな世界で、一人の身の程知らずな冒険者が英雄となる事を目指す物語。〜
森の中で響く、大きな衝撃音。
一人の冒険者は森の中で自分の身体の5倍はあろうかという魔物に追われ、窮地に立たされていた。
(クソっ!クソっ!魔物が少ない道を選んだはずなのに!よりによってこの辺で最強のサイクロプスに鉢合うなんて!)
闇雲に逃げ続けていたが、開けた場所まで出た時に冒険者は絶望した。
冒険者の目の前は断崖絶壁の崖があり、どうにも登る事は不可能だ。後ろからはサイクロプス。そして、もう逃げる体力がない。
「マジか…」
後ろを振り返ると既にサイクロプスの攻撃モーションは始まっており、勢いよく腕を振り下ろし攻撃してきた。
直撃は避けれたものの右腕に熱く鈍い感覚が走る。
「っっっ!ぐっ!ハァハァ…」
右腕は嫌な方向を向いている。
(どうする…回復…いや、そんな隙はない…戦う…イヤ、無理だから逃げてたんだよな)
瞬間、数多くの選択肢を迫られ、
「ははっ、こりゃさすがに詰んだかな」
冒険者は諦める事を選択し、力なく後ろの崖に寄りかかり腰を下ろした。
(また死んだら、こっからどうなるんだろう)
既にこの状況に対して上の空になっている冒険者に、再度サイクロプスがトドメの一撃を放つため腕を振り上げた。
その時。
目の前のサイクロプスの胴体が真っ二つに割れ、座り込んでいた冒険者は返り血を大量に被っていた。
(………へ?…生きてる……助かった?…何が起きた?)
なんとか目に入った血を拭い状況を把握しようとするが、血の雨が中々止まず周りがよく見えない。
サイクロプスが立っていた場所にうっすら人影が見えたので凝視すると声が聞こえた。
『冒険者かな。この辺を一人でうろつく程強そうには見えないけど、腕の傷は大丈夫だろうか』
直接脳に響くような不思議な男の声だ。
(誰かがサイクロプスを倒して助けてくれたのか?)
血をなんとか拭い相手を視ようとする。
『全然喋らないけど大丈夫かな?なんか泣いてるみたいだし、きっと怖かったんだね』
血を拭っている仕草が泣いてると勘違いされている気恥ずかしさから慌てて返答する。
「あ、いや、泣いてるわけじゃなくて!これは目に血が入って!
というか、た、助けてくれてありがとうございます。」
『腕の傷…』
「ああ、腕の傷は一応ヒールは使えるんで、大丈夫!」
血を拭い、"雨"も止んでようやくその"恩人"の姿が見えてきた。
全身が隠れる程の黒いローブを羽織っており体格は正確に分かりづらく、一瞬視えた顔には仮面の様な物が着けられ、全体的に酷くボロボロだった。不思議とサイクロプスを真っ二つにしたであろう武器らしき物は見えない。
命の恩人に対してとても失礼だが、正直かなり不気味な印象だ。
こっちが面食らっていると、ローブの中から仮面の様な物が自動的に開き、ようやく恩人の顔が見えた。
とても驚いた表情でこちらを見ている。
『嘘?……君…僕の声が聴こえてるの?』
まただ。脳に響くような不思議な声。
「え?あ、はい。。。あれ?口動いてない?」
『やっと終われる…』
その言葉を最期に命の恩人は眼の前で崩れていった。
崩れ落ちるように倒れたのではない。
文字通り"崩れた"のだ。