【遊郭】ー遊乱亭にてー 幻想
こんにちわ!有馬波璃海です!
ただの趣味での投稿になります!(*´-`)
こちらの、作品は、長編連載小説【時雨の里】の姉妹作品で、【時雨の里】の時代から約25年前の話となっています。
※こちらの作品は、シリアスながらもほのぼの要素のある【時雨の里】とは異なり、ギャグ要素はあっても、全体的にシリアスな感じになることが予想されます。あらかじめご注意ください。m(__)m
【時雨の里】絶賛連載中!こちらも、ぜひ、ご覧ください!(。-人-。)
◯長編小説◯
【時雨の里】(連載中)
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【刀馬】
「それで・・・これから、どうするんだ?この花魁娘によれば、上方さんは来ない。」
刀馬は、かったるそうに言った。すると、澪は突然刀馬の右腕を掴み、刀馬の正面に自分の背を向け腰を使って、思いっきり刀馬を落とす。
【刀馬】
「えっ?」
刀馬は一瞬の出来事のため、何が起こったのか理解することが出来ず、そのまま床へと叩きつけられてしまった。猿飛も予期せぬ出来事にただただ呆気にとられていた。気がつけば、遊乱亭の美しい装飾が施された天井が目前にあった。しかし、すぐに我に返った刀馬は、声を荒げながら言う。
【刀馬】
「お前、何しやがる!」
澪は、怒っている様子で荒々しく言う。
【澪】
「アタシの名前は、澪。花魁娘なんかじゃないわ。」
猿飛は二人の様子を見て静かに忍刀を背中の鞘にしまうと、鵜飼の腕を自分の肩にかける。
【猿飛】
「刀馬・・・。お前が悪い、後で謝るんだな。それより・・・ここに、もう用はない。新手が来る前に撤収だ。」
【刀馬】
「・・・そうだな。悪かった。」
刀馬は起き上がると、猿飛と鵜飼の肩に手をあてた。刀馬は何かを決意した様子で言う。
【刀馬】
「ここには、上方さんはいなかった・・・。早くここから出て、伊賀の皆を探さなねぇーとな・・・。」
【猿飛】
「あぁ・・・。」
猿飛は急ぎ足で、遊郭の美しい廊下を駆けていく。刀馬と澪もそれに続く。長い廊下は、左側障子で障子で仕切られた部屋がり、一方で右側は、朱色の壁に金色の鶴や、富士のなどの日の本を代表するような風景が描かれた雅な壁がどこまでも続いていた。先程の騒ぎで、中にいた人々はどこかへ避難でもしたのだろうか?人のいる気配がしない。それどころか、走っても走っても出口が見つからない。
【猿飛】
「どういうことだ・・・。何がどうなっている?」
【刀馬】
「この屋敷・・・。何か変だ・・・。お前、何か知らないのか?」
【澪】
「ふん!アタシ、お前なんて名前じゃないわ。」
澪は、そっぽを向いて、とても不機嫌そうだ。
【刀馬】
「お前、まさか。風魔の手先になったんじゃ・・・。」
刀馬は真剣な眼差しで、澪を問い詰める。それに対して、澪は顔を真っ赤にして言う。
【澪】
「アタシは、由緒正しき伊賀の武家の女よ!裏切ったりなんてしないわ。」
澪は、よりいっそう機嫌を悪くする。刀馬と猿飛は互いに顔を見合わせる。そして、互いに背中を合わせるようにしてその屋敷全体を見る。刀馬はすく近くの部屋の障子に手をかけ、戸を開ける。しかし中には誰もいない。猿飛も手当たり次第の部屋の障子を開けていく。しかし、どこにも人がいた形跡はない・・・。
【刀馬】
「忍御用達のからくり屋敷か?ここは・・・。」
【猿飛】
「からくり屋敷だってこんなに不気味じゃねぇーよ。」
どの部屋も美しい装飾が施され、縦軸や遊女達が使うであろう扇子やら琴などの楽器が並ぶ・・・。今にも、賑やかな宴会でも始まりそうな
漂う部屋部屋。人間だけはそこにいなかった。猿飛は鵜飼を廊下の壁に持たれかけさせ、呟いた・・・。
【猿飛】
「マズいな・・・。」
【刀馬】
「猿飛?」
【猿飛】
「俺達は、もう敵の術の中だ・・・。」
【刀馬】
「まぁ・・・見るからに、だけど。問題はどう抜け出すか・・・だ。」
猿飛は、鵜飼の肩を強引に揺らす。しかし、鵜飼はピクリとも動かない。
【猿飛】
「これは、俺の予想だが・・・。鵜飼はさっき100人いた風魔の連中を倒した訳だが・・・。今思えば、風魔の連中にしては手応えが無さすぎた。あの時、風馬の連中の中で、鵜飼同様、幻覚系の忍術を使えるやつがいたのだろう。幻覚系の術を破るには、それ相応の気の使い方ってのがあるわけだが、この術・・・。相当強いようだ。まったく気の緩みがない。まぁそれでも鵜飼が起きていれば、大した問題ではないんだが、こいつは術の副作用でしばらくこの調子だ。あいつらの狙いはまず、鵜飼を潰すことだったんだ・・・。」
【刀馬】
「やれやれ。倒したと思っていた風魔に逆に術にかけられたってわけか。じゃあ、100人いたというそもそも、風魔を倒したってのも幻覚なんじゃないのか?」
刀馬は、少し真剣な表情になって言う。
【猿飛】
「いや、それは大丈夫だ。現に鵜飼はこうして夢の中だ。これは確実に術事態が成功したという証拠・・・。それに、鵜飼は並みの精神身体型の使い手じゃないからな、一人や二人の記憶情報を盗んだだけでへばったりはしねぇー。つまり、実際に倒したやつらは100人くらいいたというわけだ。この術をかけたやつも、今は鵜飼のかけた術にかかってぶっ倒れてるだろうよ・・・。」
【刀馬】
「なら、話は早い・・・。」
刀馬は、刀を腰の鞘から引き抜いた。それを見た猿飛は嫌な予感がする。
【猿飛】
「お前・・・何をするつもりだ・・・?」
すると、刀馬は不適に笑い壁に寄りかかる鵜飼を嬉しそうに見下ろすのだった。
読んでくださり、ありがとうございました!
次回も是非、ご覧くださいませ!(*´-`)
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