【遊郭】 ー遊乱亭にてー ムカつく輩
こんにちわ!有馬波璃海です!
ただの趣味での投稿になります!(*´-`)
こちらの、作品は、長編連載小説【時雨の里】の姉妹作品で、【時雨の里】の時代から約25年前の話となっています。
※こちらの作品は、シリアスながらもほのぼの要素のある【時雨の里】とは異なり、ギャグ要素はあっても、全体的にシリアスな感じになることが予想されます。あらかじめご注意ください。m(__)m
【時雨の里】絶賛連載中!こちらも、ぜひ、ご覧ください!
(。-人-。)
◯長編小説◯
【時雨の里】(連載中)
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一人、部屋に残された、鵜飼は、用意された酒を一口飲もうとして、そのまま床に置いた。くせ毛かかった黒髪に、頬に二本、顎に一本黒い線を描いており、細くつり上がった目は怖い印象を他に与えた。
戦友である猿飛は自分よりも、二つ年上でありながらもどこかつかみ所がなく、何を考えているのか分からない男だ。しかし、そんな男に自分の姉は惚れた。幼い頃からのに両親を戦で無くした俺達、姉弟は互いに助け合いがら生きて来た。
お互いに互いが一番の理解者で、たった一人の家族だった。しかし、ある時あいつは現れた。突然現れては、軽やかに任務を片付け、姉の心まで軽い調子で奪っていった。あいつは鬼なのかそれとも、仏なのか、素性の分からぬ。なぜなら普段のあいつは任務中に居眠りをしたり、標的を取り逃がしたりと、かなり適当なところのあるやつだ。だが、あいつはここぞという所ではやる男だった。
火の忍術が優れているという甲神の忍の中で随一の火の使い手で甲賀の将来を託すべき男だと周りはあいつを昔から祭り立てていた確かにあいつはそう言われるだけの実力を持っているやつだった。伊賀と風魔の戦の火種が甲賀にも来そうになった時、あいつはだれよりも早くそれに気づき、誰も気づくことができなかった甲賀内部に侵入したスパイや裏切り者を炙り出していった。
自分に好意を寄せる姉貴に対する態度も、フラついた態度を見せたことはない。全く、俺の周りに来るやつはどうしてこうも、ムカつくやつばかりくるのだろうか・・・。
そんなことを考えながら、外に広がる街を見れば
どこまでも艶やかで美しい提灯の明かりがどこまでも続いている。その明るい提灯の下には、いくつもの黒いカゴが美しく囀ずる小鳥を閉じ込めている。小鳥は、目の前を通りすぎていく、狼にその美しい囀ずりを聞かせ呼び寄せる。その狼に噛み殺されると知りながら・・・。なんと、悲しい街だろうか・・・。
そこへ猿飛何やら、慌てた様子でやって来る。
【鵜飼】
「猿飛、お前が慌てるなんて珍しいこともあるもんだな。」
鵜飼は、少し意外そうに言う。
【猿飛】
「呑気なことを言ってる場合じゃねぇー。おい、甲神はどこへ行った?」
猿飛、なんだかイライラしている様子で言う。
【鵜飼】
「あぁ?あいつなら、さっき今日が水揚げだとか言う娘と一発ーーーーー。」
そんな時だった。何者かがこちらへやって来る。そして、その何者の足音はどんどん増えて行き、音も恐ろしい速度で大きくなっていく。
【鵜飼】
「・・・どうやら、先に来ていると聞いていた俺達の部下の足音じゃねぇー。ふっ、しかも大分大勢でお出ましだ・・・。」
猿飛は、何やら覚悟を決めたかのように静かに背に背負う忍刀を抜き取った。振り向けばそこには大勢の風魔の国の勢力が来ている。クナイに刀に、カマに槍・・・様々な武器を引っ提げ獲物を追い詰めた狼のようなギラギラとした目でこちらを見ている。すると、風魔一人の忍が言った。
「この花街は、今や風魔が占領させてもらった。」
【鵜飼】
「なんだ?テメェーら。可哀想なカゴの中の小鳥達を自分達のためだけに囀ずらせるつもりか?まったく、風魔は趣味が悪くていけねぇー・・・。」
鵜飼は、目前の敵を見下したような目を向ける。
【猿飛】
「鵜飼、亘さんからの伝令は、こいつらが亘さんにふんして送って来たニセの伝令だ。目的は、俺達、甲賀の上忍で部隊を指揮する忍暗殺か?それとも、伊賀の侍の生き残りの残党狩りか・・・。」
風魔の侍が言う。
「まぁ、どっちも成敗できるなら、一石二鳥。」
鵜飼は、静かな口調で猿飛に問う。
【鵜飼】
「猿飛、どうする?ここでは火を使う忍術は使えない。今、甲神がどういう状況にいるか分からないが、あいつが仮に戦える状況にあったとしても、雷は使えない。こんな建物の内部も、外の道も狭いんだ。花街が、火の海になっちまう。」
【猿飛】
「鵜飼・・・。」
【鵜飼】
「なんだ?」
【猿飛】
「甲神は、今戦える状況にないかも知れないとは、どういうことだ?」
【鵜飼】
「はえ?」
鵜飼はその場に倒れこむ。
【鵜飼】
「今、そんなこと言ってる場合じゃないだろうが!」
鵜飼は、顔を真っ赤にして起こりながら言う。
【猿飛】
「ま、まさか、あいつ!」
【鵜飼】
「あぁ、そのまさかだ・・・。本当にあの芋侍の野郎は・・・。」
鵜飼は、ようやく分かったかとため息混じりにその先に続く言葉を紡ごうとした。しかし・・・
【猿飛】
「・・・泥酔しているのか?」
【鵜飼】
「はっ!えぇー?どうして、そうなるんだ?まぁ、なきにしもあらずだが、泥酔してるのは、酒じゃなくてオン・・・」
【猿飛】
「ほっとくわけには行かん。あいつがいる部屋はどこだ?」
【鵜飼】
「・・・いや・・・その・・部屋には行かない方が、良いと思うよ?」
鵜飼は、少し照れながらためらいがちに言うが、まったく猿飛に通じない。
【猿飛】
「うん?なぜだ?」
【鵜飼】
「あぁー!どいつもこいつもめんどくせー!!!」
風魔の忍達は、呆れたように二人のやりとりを見ていただが、突然、我に返ったようにクナイを投げてきた。しかし、猿飛と鵜飼はそれわやさらりとかわす。
【鵜飼】
「猿飛、どうする?この状況では、俺達が不利だ。それに結局、上方新一郎もいないとなれば、戦わずして、逃げ切るのが得策じゃねぇーか?」
【猿飛】
「まぁ・・・そうだな。取れるものがあるなら、とりたいが・・・。」
【鵜飼】
「あー。上手くいくかは保証できねぇー。何せ人数が人数だからな・・・。100はいるなこれは・・・」
鵜飼は、少し不安そうな顔をした。猿飛は、そんな鵜飼の様子を見て、目を伏せ淡々と言った。
【猿飛】
「まぁ・・・大丈夫だ。甲神もいるしな。後はなんとかしよう。」
【鵜飼】
「おし。それなら・・・。」
・・・精神身体型忍術記憶解明"・・・
鵜飼は、印を素早く結び目前の敵を睨み付ける。すると、印を結んだのと同時に100人はいるかと思われた敵は全てその場に、糸が切れた人形のように倒れこむ。
そして、隣で倒れこむ男がもう一人・・・。
【猿飛】
「はぁー。やっぱりダメだったか・・・。お前の術は、一度に滴の頭の中に気を送り、自分が知り得たい情報を敵の頭の中から自分の頭に入れることができる術であり、気を送られた敵を気絶させることもできる。だが、これはもろ刃の剣で、人数が増えたり、情報量が多すぎれば、自分の頭の中で情報を処理する速度が追い付かず、自分まで気絶してしまうっていう扱いずらい術だ。」
近くの部屋が開く。見れば刀馬とまだ少女の遊女が立っていた。刀馬は不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
【刀馬】
「ん?猿飛、お前一人でこんなに敵を殺ったの?」
【猿飛】
「いや。殺ったのは鵜飼だ。」
【刀馬】
「へー。それじゃあ、なんでそいつ伸びてんの?」
【猿飛】
「後で、説明しよう。それより・・・」
猿飛は、面倒くさそうに言った。
【刀馬】
「ん?」
【猿飛】
「お前、こんな状況泥酔するくらい飲むな。」
猿飛は真剣な表情で言う。
【刀馬】
「・・・は?」
刀馬には、猿飛が何を言っているのか、まったく分からなかった。
読んでくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみに!(*´-`)
◯長編小説◯
【時雨の里】(連載中)
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