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紅蓮荘奇譚  作者: 天城なぎさ
第拾参話 紅染まる
97/130

第拾参話 参

「ねぇ、りんちゃん。響希、何かあった?」

「どうして?」

「土曜日は普通だったけど、昨日から不機嫌過ぎない?」


 月曜日。いつも通りに登校すると、教室には、不機嫌な表情で席に座る響希君と、心配そうな(つかさ)君がいた。


「昨日のことは知らないけれど、不機嫌だね。響希君」

「でしょ! 不機嫌過ぎて近寄れないよ」

「昨日も紅蓮荘(ぐれんそう)に行ったの?」

「うん。響希も一緒にね」


 おそらく響希君は、昨日も誘われたのだろう。不機嫌な理由は、どう考えたって、ただ一つ。

 しかし、この事を(つかさ)君に、教えることは出来ない。言ってしまえば、斑牙(はんが)のサプライズが、台無しになる。

 それだけは避けたいけれど、どうしたら言い逃れ出来るだろうか。


「華鈴。少し良いか?」


 不機嫌な声で、私を呼ぶ響希君。だけど、表情も怖いし、少し近寄りがたい。


「な、何?」

「ちょっと……。いいから」


 恐る恐る、響希君の席に近寄る。ただし、(つかさ)君がいるから、大きな声で話せない。


「昨日、来なかっただろ」

桃麻(とうま)と出掛けたから、行けなかったけど。それが何?」

「斑牙の件、どうするつもりだ?」

「うーん。斑牙だけでも、大丈夫だと思うんだよね。花魁道中って、花魁は一人だけでやるみたいだし。あ、お付きの者は何人か必要なんだけど」

「お付きの者か。それなら、遊女にならずとも出来るな」


 コソコソと、(つかさ)君に聞こえないように話すけれど、今、教室にいるのは私たち三人だけ。

 聞こえてしまっても不思議ではない。


「ねぇ、二人で何を話してるの? 僕も知りたいんだけど」

「えっと。私が、個人的に受けた依頼の事でね。すぐに終わると思うんだ。そしたら、響希君も個人的に受けてたみたいでね。ね? 響希君」

「あ、あぁ。俺の依頼主と華鈴の依頼主が、仲違いしてるみたいなんだ。仲直りの方法を、模索中」


 聞こえていたみたいで、こちらに来る(つかさ)君。私たちの会話は、(つかさ)君に知られてはいけない。絶対に!


「おはよー。今日も早いね、お三方」

「おはよ、吾妻(あずま)さん。あ、髪切った?」

「うん。舜は気づかなかったけど、花里が気づいてくれて良かった」


 ナイスタイミングだよ! 吾妻さん! 心の中で、吾妻さんに感謝する! 


「おはよう、吾妻さん。昨日、桃麻と行ってきたよ。教えてくれた、キッチンカーフェス」

「どうだった? 楽しめたでしょ?」

「ものすごく楽しめた! 桃麻なんて、あれもこれもって。はしゃいでた」

「舜もそうだったよ。まったく、子どもみたいだったし」

「見てみたかったなぁ。そんな須崎(すざき)さん」


 そんな話をしていると、続々と、他のクラスメイトたちが、教室へ入ってきた。

 私と吾妻さんの会話で、響希君の話は、完全に強制終了。また後で、話すとしよう。

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