第拾参話 壱
気づくと、もう十一月。すっかり肌寒くなり、外に出たくなくなる時期だ。
それでも暇になるもので、紅蓮荘の木の間にて、響希君、僚君と話しながら、過ごしている。
そして事件は、起きてしまった。僚君が、お菓子が食べたいからと、コンビニへ買い物に行ってしまった、すぐのこと。
『僚殿の誕生日が、もうすぐなのです。今年は華鈴殿もおられますし、パーティーとやらを行いたいのです』
「もうすぐか。斑牙、僚には秘密にしているのか?」
『もちろんです』
「僚君の誕生日っていつなの?」
『二週間後です。今年は、少し特別なのです! 何卒、私に、お力添えを』
こんなに興奮している斑牙を、今まで見たことがない。僚君に内緒で、パーティーを計画している斑牙の可愛さに、協力したくなった。
「私は協力するよ。斑牙」
「まぁ、俺も。協力する」
『ありがとうございます。華鈴殿、響希殿』
「それで、どんなパーティーにする予定なんだ?」
「内容によっては、買い物しなきゃね」
それはですね。と、斑牙は言う。皆、斑牙に視線を送る。
『花魁をやってみたいのです』
「んあ!? お、花魁!?」
「斑牙、正気なの!? 花魁だよ!? 無理だよ、それは!」
『華鈴殿にも、花魁をやって頂きたいのですが』
「私も!?」
『私だけでは、華が少ないかと思いまして。華鈴殿、よろしくお願いいたします』
「無理だよ?!」
『でしたら、響希殿に』
「俺ぇ!?」
『響希殿のようなお顔立ちでしたら、きっと、お可愛らしい遊女になれますよ』
「やらないぞ、俺は!」
『そうとなれば、私と華鈴殿、響希殿で行いましょう!』
斑牙の言葉に驚き、言葉をなんとか返す私たち。
だけど、響希君が遊女をやるなんて、どんな発想をしたら良いのか……。
***
「俺は、どうしたら良いんだ……」
僚君がコンビニから戻ってくるとすぐに、リアルタイムで見たい番組があるとかで、斑牙を連れて帰ってしまった。
私と響希君は残り、斑牙のサプライズ花魁について、話し合うことに。
『フフフ。響希が遊女か。見物だな。だとしても、俺は、響希からのキセルは受け取らないぞ?』
「どういう意味だ?」
『知らないのか? 遊女とキセルの関係を』
「知るわけないだろ。今の時代に、遊女も遊郭も存在しない」
『それで、響希はやるの? あ、もしやったとしても、ボクもキセルはいらない』
「だから! 何なんだ、それは!」
さてさて。どうしたものか。
白牙、黒牙とも話し合うけれど、一向に終わりが見えてこない。
「華鈴からも、何か言ってくれ!」
「うーん。私からは何も言えないよ……」
「華鈴だって、やりたくないだろ! 遊女なんて!」
「それは、そうだね」




