第拾弐話 結
月曜日の朝。筋肉痛があるけれど、体調はいつもと変わらない。
まだ私たちしか来ていない教室で、紅蓮荘での出来事を話す。
「そんなことがあったのか」
「何で響希も来なかったのさ。りんちゃんが大変だったんだよ?」
「悪かったな。須崎の姉のことで、シキに頼まれていたことがあってな」
「でも、黒牙は来てたけど?」
「終わってから、黒牙だけ森に行ったんだ。俺は帰ったけど」
「須崎さんのお姉さんに、何かあったの? 美人さんだったよね」
その時。教室の扉が開き、まだ眠たそうな、吾妻さんが入ってきた。
「おはよ。ふぁーあ……」
「おはよう。吾妻さん」
「おっはー。吾妻さん。眠たそうだね」
「ありがとね。舜のこと、助けてくれて。舜も無事だったみたいだし、喜んでた」
「それは良かった。吾妻、ひとつ聞いてもいいか?」
「何?」
「須崎に、姉はいないよな?」
響希君は何を言っているんだろう。
私も僚君も、響希君が何を言っているのか、わからない。
「いない。舜は、一人っ子だから」
「「ええっ??!!」」
私たち。私と僚君は、吾妻さんの言葉に、間髪いれずに反応してしまった。
「そんなに驚かなくても……。舜は、一人っ子なの」
「じゃあ、私たちが見たあの美人は?」
「りんちゃんの言う通りだよ。あれは、誰なの?」
「あたしに聞かれても、わかんないよ」
これは、響希君に説明してもらおう。
「須崎に呪いをかけていたのは、サギノマタの他にもいた。あの女は、人間の気をまとった妖だ。シキに言われて、俺も知った」
「じゃあ、響希が帰っちゃったのは、その妖が原因?」
「祓わなきゃ、須崎は今も呪いを受けていただろう」
「でも。サギノマタが、他の妖に気づかないこと、ある?」
「サギノマタよりも妖力が強ければ、あり得ない話ではない」
「舜は気づかなかったの? 二体の妖怪に憑かれていたなら、気づくでしょ?」
吾妻さんも不思議に思っている。
もう一体の妖の狙いは何なのか。私たちには検討がつくけれど、吾妻さんには、わかってもらえるだろうか。
「もう一体の妖も、盃を狙ってたんでしょ?」
「みたいだな。須崎の夢に出てきたのは、おそらく、もう一体の方。サギノマタにはそんな力はないはずだ」
「憑くことだけは出来たんだろうね。妖力があまり無い状態だったし」
「でも。サギノマタは、私の魂を戻してくれたよ?」
「雪村さん?! 何かあったの?」
「ちょっと、生死を、彷徨いまして……」
「大丈夫なの!? 今日は休んだ方が……」
「大丈夫だよ。今は元気だから。ありがと、心配してくれて」
吾妻さんはこの事を知らなかったね。変に心配させちゃった。
時間も時間で、続々とクラスメイトが教室に入ってきた為、この話は強制終了。
そう言えば、サギノマタはどうなったのかな。昨日は大事をとって行ってなかったから、放課後、霞ヶ森に行ってみよう。




