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紅蓮荘奇譚  作者: 天城なぎさ
第拾壱話 悪しき夢みし
83/130

第拾壱話 伍

「りんちゃんは、昨日の話、どう思った?」

「まさかの一言かな。妖の姿が、信じられないよ」

「だよね。意外過ぎるよね」


 翌日の昼休み。いつものように、響希君と(つかさ)君と、誰も来ない視聴覚室で、昨日の話をする。


「俺、教室に戻っていいか?」

「ダメに決まってるでしょ! 響希も解決策を考えてよ」

「何で俺もなんだよ。須崎とか言う男の話は、聞いていないんだぞ」

「でもさ、響希の大っ好きな吾妻さんが、最終的にはよろこぶんだよ?」


 (つかさ)君の、会心の一撃。

 長い沈黙の後。響希君はゆっくりと、口を開いた。


「吾妻が喜ぶなら、協力しないでもない」


 拗ねたような口調で、響希君も協力してくれることになったけれど、妖の姿を、響希君に伝えても良いのだろうか。


「どうした? 華鈴」

「なんでもないよ。響希君が協力してくれるなら、この依頼はすぐに終わるね」

「そうか。俺は、吾妻の為に依頼を受ける。ところで、妖の姿について、何か聞いているのか?」


 この流れはマズイよ。(つかさ)君!

 そんな思いで(つかさ)君を見ると、大丈夫とでも言いたげに、手で制してきた。


「その事なんだけどね、僕たちも理解出来ないんだ。響希が聞いたら、ショックで倒れるよ」

「俺はそんなことで倒れないぞ」

「じゃあ、どうなっても知らないからね。僕たちは責任取らないよ」

「ふん。早く言え」


「吾妻さんなんだよ。声も何もかも、吾妻さんなんだ」


 (つかさ)君の口から告げられる、須崎さんを襲っている妖の姿。

 私は下を向き、響希君の表情を知ることは出来ない。


「嘘だろ? 吾妻が、襲っているのか?」

「僕が思うのは、人間の夢に入り込み、好きな人の姿となって、襲う妖の仕業」

「須崎って男は、吾妻のことが好きだから、吾妻の姿になって襲った……。何故、吾妻なんだ?! 他の奴にしろよ!」

「響希君、落ち着こ。ね?」


 顔を上げ、響希君を見据える。


「シキに聞いてみようよ。何か知ってるはずだよ」

「そうだよね。今日が短縮授業で良かったよ。時間がたくさんある」

「吾妻の為だからな。俺は、必要以上に協力はしない」


 ピロン。

 私のスマホが鳴り、見てみると、須崎さんからメールが。


『昨夜の夢の中で、「ツキノサカズキを返せ」と妖に言われました。俺は何の事だかわからないのですが、ツキノサカズキを、雪村さんはご存知ですか?』


 響希君と(つかさ)君にもこの画面を見せ、二人にもメールの内容を知ってもらう。


「ツキノサカズキ? 聞いたことないよ」

「それもシキに聞くか。俺は聞かないけど」

「とりあえず、響希君も来て。私と(つかさ)君で、須崎さんのことと妖のことを調べるから。響希君は、ツキノサカズキについて、調べてね」

「だってさ、響希」

「協力すると言ったんだ。そのくらいなら、やってやる」

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