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紅蓮荘奇譚  作者: 天城なぎさ
第拾壱話 悪しき夢みし
81/130

第拾壱話 参

 響希君と(つかさ)君に話したのはいいけれど、須崎さんから連絡がなければ、何も始まらない。


「雪村さん。昼休み中に、舜から連絡があったの。明日の放課後、話せないかって」

「明日ね。わかった。いいよ」

「それと、これが舜の連絡先」

「ありがとう。吾妻(あずま)さん」


 昼休みが終わって教室に戻ると、隣の席の吾妻さんが、須崎さんからの連絡を受けてくれたようで、返事等々を教えてくれた。


「須崎さんの体調は、大丈夫?」

「大丈夫そうだけど。最近、会ってなくて」

「会ってないの?」

「倦怠期ってやつかな。雪村さんたちは?」

「先週の土曜日に、桃麻の家でゲームした」

「いいねぇ。あたしたちとは、大違い」


 はぁ。と、吾妻さんはため息を一つ。


「それでも、連絡はくれるから。だからなのかな。舜が、悪夢を見てることを明かしてくれたのは、なんか嬉しかった」

「ちゃんと吾妻さんのことを、信頼してるんだね。須崎さん」

「してくれてるのかな~」


 ***


「華鈴、ちょっといいか?」

「いいけど、何?」


 放課後。教室の掃除を終えて、これから紅蓮荘に向かう為、帰る準備をしていると、響希君が教室に戻ってきた。


「あ、いた! 響希!」


 ついでに、(つかさ)君も。『ついで』は悪かったかな。

 響希君を追いかけて、教室に戻ってきた様子。


「華鈴。吾妻に彼氏がいるのは、本当なんだな?」

「そうだけど……? 実際、二人も見かけたこと、あるはずだよ。夏休み初日に」

「もしかして、桃麻氏の補習課題を手伝うとか言ってた人?」

「そうそう。その人」

「マジかよぉ……」


 えっ。どうしたの? 響希君。


「響希君? どうしたの?」

「聞くなっ!」


 ヘナヘナと、膝から崩れ落ちていく響希君は、今まで見たことがない。

 なんだか、新鮮。


「響希ね、吾妻さんに片思いしてたんだよ。だけど、今日の昼休みにりんちゃんが、『吾妻さんに彼氏がいる』って言ってから、響希がもう……」

「そうだったの? そんな感じはしなかったけど」

「それ以上言うな! 学校に来れなくなるだろ、俺が!」


 顔を真っ赤にした響希君は、ムスッと頬を膨らまし、目には涙を浮かべている。

 普段とは違い、とても可愛い。


「明日の放課後、須崎さんと会えるって」

「明日だね。わかった」

「俺も、行かなきゃ駄目か? (つかさ)と一緒に行ってくれ。俺は、行きたくねぇ」

「昼休みは、本人から聞きたいって言ってたでしょ? 響希君」

「よくよく考えたら、吾妻の彼氏だ。つまり、敵だ!」

「響希も行くよ! この前の依頼の時、嫌々言う僕を、連れ出したじゃん!」

「それでも俺は! 行きたくないんだ!」


 ギャアギャア言い合う二人を、私は見ているしかないのだった。

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