表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮荘奇譚  作者: 天城なぎさ
第拾話 妖の名
73/130

第拾話 参

「名前を、探すの?」

「不明点が多すぎる。俺たちも行くから、その妖から話を聞くしかないな」


 昼休みに、響希君と(つかさ)君に、女の子妖のことと、依頼を伝える。


「その女の子妖は、何処から来たの?」

片浜(かたはま)から」

「片浜!? そこって、沿岸部だよね!? 遠くない!?」

「だから、名前が見つかるまでの間、紅蓮荘(ぐれんそう)に泊まるって」


 今日はあいにくの雨。

 無言の私たちを、雨音が包み込む。


「名前がない妖……。奪われたわけではなく、消えていた……」


 唐突に響希君が呟く。


「ねぇ、奪われたとか、どういうこと? シキも言ってたの」


 昨日から何気に、気になっていた。


「名前を奪う妖がいるんだ。そいつは、妖の名前を喰らう。つまり、妖の魂を喰らう」

「僕たちは、その噂を聞いただけだから、はっきりとしたことを知らないけどね」


 そんな妖がいるなんて、知るわけもなく。

 女の子妖は、名前を奪われたわけではない。

 だけど……。


「名前が消えることはあるの?」

「ないはずだよ。名前は妖の魂。名前が消えたら、妖自体が消える」

「本人の思い過ごしなだけで、名前は消えていないんじゃないか? 名前が消えているのに、妖としての実体があるのは不自然だ」

「じゃあ、あの女の子妖は、何者なの?」

「会ってみないと、俺たちもわからない」


 ***


 五時間目の地理は、先生の出張で、自習になっている。

 社会科室で自習を行うため、教室移動。

 社会科室は、教室棟と渡り廊下で繋がっている管理棟にあり、それなりに距離がある。


「自習で助かったよね」

「もしかして、りんちゃん。気になってるの?」

「何を?」

「例の妖のこと」


 響希君と(つかさ)君と一緒に、話ながら向かう。

 やはり話題は、女の子妖。


「シキは何か言ってたのか?」

「何も。響希君と同じように、『奪われたかどうか』聞いてた」

「悪しき妖は入れないから、その妖は、狙われる心配はないだろ。あそこには、シキの他に、キノカサだって妙月(みょうげつ)様だっているんだし」


 昼休みに降っていた雨は、徐々に強くなっていき、今はどしゃ降り。

 どんよりとした空は、モヤモヤしている私の胸の中を表しているよう。

 放課後までに、雨が弱まってくれたらいいのにな。


「とにかくさ。今は考えずに、自習を楽しもうよ。りんちゃんも、響希もさ!」

「そうだな。せっかくの自習だもんな」

(つかさ)君に言われるとは思わなかったけれど、その通りだよね」


 今はとにかく、妖のことを考えないようにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ