第玖話 肆
「へぇ~。お二人も、妖怪の事で色々とあるんですね」
「大変なことばかりですよ」
「笹本さんでしたっけ。見えないんですか?」
「それが、まったく……。だから、華鈴が羨ましくて」
男子は打ち解けるの早いな~。
もう普通に話してるよ。
「雪村さんとは、幼なじみなんですよね?」
僚君!?
「そうなんです。家が近所なので、よく遊んでました。最近はお互い忙しいので、遊べませんけど」
「大変なんですね」
「まぁ、俺の宿題が終わってないだけなんです」
なんですと!?
「桃麻、まだ終わってなかったの!?」
「うん。まだ」
ええっ!?
遊べないじゃん……。
「なんで、宿題があるんですかね~。なかったら、華鈴と遊べたんですけどね」
おぉ?
反応しにくい。
「ラブラブですね~。華鈴の顔、赤くなってるし」
「ふぇ!?」
ニヤついた響希君の顔に、ついつい、変な声を出してしまった。
「響希君!!」
「まぁまぁ、りんちゃん、落ち着いて」
「あははは。華鈴、楽しそうだな。良かったよ」
「ん?? 何が?」
「いや~。妖怪が見える人たちに出会えて良かったな。俺は、嬉しい!」
『おやおや。皆お揃いですか』
誰だろう。
「シキ! 久々にその姿を見たから、わからなかったぞ」
「人間姿はいつぶりだっけ?」
白地に紅い花模様の浴衣を着た、銀髪が似合う大人な男性が、私たちの前に現れたけど、まさか、シキだったとは。
響希君も僚君も知っている姿らしいけど、私は初めて。
「シキなの!? 初めて見たよ、人間の姿」
『この姿。華鈴には、はじめまして。ですね』
「白牙から聞いてたけど、人間の姿になれたんだね」
シキは私から視線を反らし、桃麻を見ている。
しかし、桃麻は私の方を見て不思議そうな顔。
「華鈴。この人は誰なんだ?」
「えっとね、知り合い」
「こんな、大人な人と!? いつ、どこで知り合ったんだ!?」
人間姿のシキは、桃麻にも見えるらしい。
『華鈴の隣にいる、そちらの方は、どなたですか?』
シキは桃麻を見て、不思議そう。
「私の、彼氏なの」
『かれしとは?』
妖は、『彼氏』という言葉を知らないのかぁ。
「つまりね、恋人」
『なるほど。恋人でしたか』
「は、はじめまして。華鈴がお世話になってます」
桃麻は慌てて挨拶。
『こちらこそ。いつもお世話になっております』
「そんなことより、シキ。この妖の多さは何なんだ? 毎年来ているが、いつもこんなにいないぞ?」
響希君が話題を変えてくれた。
『ボクも、今年の多さに驚いているんですよ。今年は、十年に一度行われる、「神守祭」ですからね』




