第捌話 参
白牙とともに紅蓮荘に向かうと、シキ、キノカサ、朱音寺妙月様が、玄関を入ってすぐ、正面の水の間で何やらお話し中。
そこに、カヌの卵を持って入っていった。
『カヌの卵ですか』
『ちょうど話してたところだったんだ。カヌがこの地に来たとな。華鈴、カヌは知ってるのか?』
「知らない。白牙から簡単に教えてもらったくらい」
ほほぅ。と、妙月様。
『カヌがこの時代にもいたとは。我の生きていた時代にも、カヌはおった』
「妙月様は、見たことあるんですか?」
『成鳥ならばあるが、幼鳥はない。ただ、一度だけだがな』
おお! なんと!!
それより、気になることが。
「だんだん、現代の話し方になってきましたね」
『時代に合わせていかねばならないからな』
「そうでしたか。お召し物も変えてみてはいかがですか?」
『この方が落ち着くのでな。我はこのままでいい』
『ねぇ、シキ。カヌに関する書物、二階の書庫にあるかな?』
『あるはずですよ。白牙、カヌに興味津々ですね』
私が妙月様と話している間に、白牙はシキと何やら話していた様子。
『華鈴、二階行こ! カヌの書物あるって!』
「わかったから、少し落ち着こう」
白牙はカヌの事の知りたいあまり、興奮気味で、落ち着かない。
『早く行こ!』
「わかったから、待ってて」
更に、私の服の裾を咥えて引っ張る。
「カヌの卵、ここに置いてくね」
『卵は俺たちに任せて、調べてこい』
カヌの卵をシキ、キノカサ、妙月様にお願いして、白牙とともに二階へ。
***
「相変わらず、たくさんの書物だね」
『まぁ、時間はたくさんあるんだしさ。華鈴、頑張って探そう!』
「とか言いつつ、白牙は何もしないんでしょ?」
『そ、そんなこと、ない、よ?』
書庫には相変わらず、たくさんの書物。
電気を点けると一瞬でわかる、埃まみれ……。
「シキ、掃除してないのかな~」
足を踏み入れ、愚痴をこぼす。
『シキも、色々あるみたいだからね。キノカサだって、妙月様と出掛けてるし』
「先に掃除しちゃおっか。掃除しながらであれば、勝手に見つかるかもしれないよ」
『じゃあ、ボクも手伝う!』
白牙が妖犬姿から人間姿に変わり、二人で書庫の掃除。
手分けしてやれば、早く終わるだろう。
『雑巾あるか、シキに聞いてくる! あ、シキたちにも手伝ってもらおうよ!』
私の返事を聞かず、そのまま書庫を出ていった。
ガチャ。ギギギ。
窓を開けて、換気。
埃の匂いが満ちていた書庫に、心地よい風が入ってくる。
「台風の後だけど、風が気持ちいい!」
なんて、独り言。
『華鈴、書庫を掃除してくださるようですね。礼を言います』
『まぁ、俺たちも時間をもて余しているからな。手伝おう』




