第捌話 弐
「雨、止んだね。あ、虹が出てる」
『ホントだ! 虹! 虹!』
窓の外には、七色の橋がかけられていた。
ドローポーカーはどこへやら。
何回勝負したのだろう。
勝ったり負けたりで、時間が流れていった。
「あれ? あんなところに、鳥の巣なんてあった?」
『どれどれ~?』
窓から見える杉木に、鳥の巣らしきモノがある。
中には一つだけ、卵が入っているみたい。
窓に近づき、白牙とともに確認。
『もしかしたら、あれはカヌの巣だね』
「カヌの巣?」
聞いたことないの名前の動物か、鳥だろうか。
『神獣って知ってる? 華鈴』
「知らない。何それ?」
『神の化身とか、使いって言われてるんだ。カヌは、見た目はカラスみたいだけど、カヌの姿を見た者に、幸運がもたらされるんだよ』
更に白牙の説明は続いた。
カヌが産卵をするのは、百年に一度。
巣作りは、誰にも気づかれないように、嵐の最中に行われ、そのまま産卵するのだそう。
しかも産卵後は、卵には一切触れず、子育てをしない。
どのように孵化するのか、妖でも見たことがないとのこと。
「ここにいたら、見れるね。孵化の瞬間」
『見れたらいいね。でも、カヌの卵を狙う妖がいるんだよ』
「何のために?」
『食べるため。それ以外の理由なんてないよ』
カヌの卵を食べる妖。
まぁ、私たち人間も、鶏の卵を食している。
でもあれは、無精卵だから……。
なんだか複雑。
『それより、なんだかお散歩行きたい!』
「お散歩?」
『雨止んでるから、華鈴も外に出られるよね。それに、カヌの事知りたいでしょ? 紅蓮荘に何か資料があるかもしれないよ。ボクもカヌの事知りたいし』
「いいけど、卵どうする? 卵を狙う妖がいるんでしょ」
『卵も連れて行こうよ! そうすれば、大丈夫でしょ!』
しかし、ここで問題が。
「どうやって卵を持ち出すの? 親カヌがいないとしても、ここからじゃ、届かないよ」
『もう。しょうがないな~。ボクがいるでしょ。飛べるんだから、取りに行けるよ』
飛べるんだ!?
いつも地面を歩いてるから、わからなかったけど、飛べたんだね!?
『ちょっと待ってね。妖犬の姿に戻るから』
驚く私をよそ目に、煙に包まれる白牙。
あっという間に、人間の姿から、妖犬の姿へと早変わり。
『はい、お待たせ。巣ごとでいいよね?』
「その方が、白牙が咥えやすいなら、いいよ」
『じゃ、取ってくるから!』
窓を開けてあげるとすぐに白牙は飛び出して行った。
妖って、飛べるからいいなぁ。
私も飛んでみたいよ。
『ふぁい。カニュのしゅだお』
口に咥えているから、なんだか可愛いしゃべり方。
「ありがとう、白牙。これがカヌの卵……」
巣ごとカヌの卵を受け取り、間近で卵を見てみる。
大きさはダチョウの卵くらいで、薄紫色。
『きれいでしょ! 早く行こ! 卵を狙う妖が来るかもしれないよ!』




