第漆話 弐
「詳しくお聴きしても良いですか?」
シキ、響希君、僚君と、桔梗の妖さんが座るテーブルに同席させてもらって、話を聴くことに。
『貴女があの家に来た後、裏庭にいた小さき者たちが、次々と消えているのです。貴女が、裏庭に足を踏み入れていない事は事実。貴女と共に来た方々も同様。わたくしには、何が起きているのかわからないのです』
「あの家に、もう一度行っても良いですか? 何が起きているのか、確かめたいです」
昼下がり。
外は暑いし、妖と言えども桔梗は植物。
人間でもこたえる暑さだから、植物には辛いだろう。
今の時間帯は避けて行きたい。
『引き受けて下さるの?』
「もちろんです」
***
話が終わると、桔梗の妖さんが少し森を歩きたいと言って、紅蓮荘を出た。
「華鈴が、俺たちの知らない所で、あんな妖と知り合っていたとは」
「りんちゃん、一体いつどこで知り合ったの!?」
響希君も僚君は、いつもと変わらない様子。
「その前に、ごめんな。華鈴。騙すようなことを」
「本当に、ごめんね。りんちゃん」
「こちらこそ。謝ってくれてたのに、変な意地を張っちゃって。ごめんなさい」
これで、仲直りで良いのかな。
『華鈴。ボクからも謝ります。また、響希と僚と共に、妖の依頼を受けて頂けますか?』
「もちろん。また、よろしくね。シキ」
微笑んだシキの顔は、以前と変わらない、穏やかな表情。
「皆に相談したいんだけど、この依頼、私にやらせてもらえないかな?」
「華鈴だけで?」
「危険が及ぶ可能性がないとは言えないよ? りんちゃん」
そうだよね。
思った通りの反応。
「あの桔梗の妖さんが住んでいる家、ちょっと事情が複雑で……」
「行ったことあるの?」
「少し前にね」
「じゃあ、その小さい妖にも会ったことある?」
「ない……」
無言の間。
「どうする? シキ」
『んー。何とも言えません。家に事情があるなら、それを理解している華鈴に、任せたいです』
ですが……。と、続けるシキ。
『やはり、二人と共に行って欲しいです。妖が消えていることを考えると、今はまだ妖だけだとしても、後々人間にも影響が出かねない』
「そっか。わかったよ」
『シキ殿、心地好い森でした。たくさんのお仲間がいらっしゃって、羨ましいです』
ドアが開く音が聞こえなかった。
桔梗の妖さんが、いつの間にか戻っている。
『楽しんで頂けたようで、何よりです』
「あれ? シキ。玄関のドア、いつの間に直したの?」
『壊れてなどいないはずですが?』
「私が開けたとき、ギギギって、音がしたの。少し重い感じもした」
『あぁ。それなら、黒牙と斑牙にお願いしたんですよ』




