第陸話 結
「花の妖ですか……」
「はい。裏庭にも小さな妖がいますが、その妖たちも花の妖のようです。祥一郎さんが愛した草花の」
「いい話だな。俺らも華鈴と同じように妖怪と話せたらいいのに」
玄関で待ってくれていた桃麻と須崎さんに、聞いた話を少し話す。
「それはそうと、笹本から聞きました。お二人、お付き合いをされたようで。お幸せに」
「あ、ありがとうございます?!」
桃麻、話したんだ。
いきなりで、驚きが隠せない。
「んじゃ、帰りますか!」
「私、図書館で借りたい本があるから、寄ってもいい?」
***
月曜日。
教室には数人のクラスメイトの姿が。
その中に、響希君と僚君の姿もある。
挨拶を済まし、席につくと、昨日借りた花言葉の本で、調べ物。
「ねぇねぇ、雪村さん!」
声をかけてきたのは、クラスメイトの松坂愛理さん。
「な、何?」
見ていた本から目を上げ、松坂さんを見据える。
「一昨日かな。見知らぬ男子と手を繋いでなかった?」
「ん?! 一昨日?」
「人違いじゃないと思うんだよね。ファミレスの方から、学校の方に向かって歩いてた。雪村さんぽい人と、見知らぬ男子が手を繋いで歩いてたとこを、偶然見たんだけど、違う?」
うん。と言ってしまえば、それで終わる。
だけど、違うとも言えない。
遅かれ早かれ、いずれバレる時がくるんだ。
「松坂さんが言っているのは、多分、私」
聞こえるか聞こえないかの声量。
俯きながら、答える。
「やっぱり!! この学校じゃ見ない顔だったから、他の高校? いつから付き合ってるの?」
終わらなかった。
それもそうだよね。
「えっと。家が近所で、幼なじみなの。高校は白千高校で、付き合ったのは、一昨日から」
「おぉ! 付き合いたてなんだね! お幸せに!」
「あ、ありがと」
「もうすぐ夏休みだし、その彼氏さんとデートする予定だったり?」
ん?
この声は……。
「おはよ。雪村さん」
「おはよ。吾妻さん」
まだ来てなかったけど、気づかないうちに来てたんだ。
それに、席替えをしたから、席が隣だったね。
「てっきり、月島君か花里君のどちらかと、付き合ってるんだと思ってたけど、違ったんだね」
「何の話をしてるの?」
「あのね、雪村さんに彼氏ができたみたいでね、一昨日から付き合ってるんだって」
「本当に?! おめでとう、雪村さん」
松坂さんと吾妻さんで、何故か盛り上がって。
しかも、響希君と僚君が、こっち見てる!?
「彼氏さん、嫉妬させないようにね!」
「とりあえず、お幸せに」
「ありがとう。頑張ります?」
机に頬杖をつきながら、考える。
夏休みかぁ~。
な~にしよっかな!!
なーんて、考える前に、桔梗の花言葉を知りたい。
それにしても。
「桔梗の花言葉、どこ~!!」
ページを捲り捲る。
「桔梗の花言葉なら、『永遠の愛』、『誠実』、『清楚』だよ。雪村さん」
「ありがと。吾妻さん」
そうだ。最初から、吾妻さんに聞けばよかった。




