第伍話 壱
『妙月とは、華鈴が見た夢通りに出会った。殺鬼を、共に封じた仲だ』
「キノカサだけでも封じられるの?」
一応、聞いてみた。
『難しい。妙月と違い、俺は封魔師ではない。名ばかりの、妙月の式神だからな』
それでも……。
「でも、やり方は知ってるよね?」
『妙月の側で何度も見ている。バカにしているのか?』
「してない! ただ、今の状況を考えると、殺鬼が彷徨いているのは、妖にとっても、人間にとっても、危ないでしょ」
「それより、シキ。汰矢をひとりにしても、大丈夫なのか?」
響希君が、私たちの会話を遮り、シキに聞いている。
『大丈夫ですよ。森の住人が側に付いています。何かあれば、呼びに来るでしょう』
「でもさ、なんか変だよね」
今度は僚君。
何が変なんだろう?
皆、僚君を見ている。
「四年前、りんちゃんが殺鬼の気配を感じてたのに、何で今になって彷徨いてるんだろ」
「それは、あれだろ? あれ」
「『あれ』って何? 響希だって、わかんないでしょ?」
『色々と、調べる必要がありそうですね』
***
その日の夜。
コンコン。
ドアをノックする音が聞こえ、開けてみる。
「はーい」
「おっ邪魔しまーす!」
「わりぃな。ちょっと、話したいことがあって」
私の部屋に、響希君と僚君が来た。
「ちょっと散らかってるけど、どうぞ」
ベッドの上に、持ってきていた荷物を広げていたから、急いで片付ける。
とりあえず、ベッドを背もたれのように使い、床に並んで座った。
「華鈴のことで、シキと話した」
響希君の声が、重く聞こえてしまう。
『私のこと』って、一体何?
「私のこと?」
「今日倒れたこと。前に、根付けを探した時もあったよね」
「シキと相談したんだ。華鈴には、妖眼以外の能力が、あるんじゃないかと思ってな」
「それで、シキはなんて?」
怖さがあるけど、一応聞きたい。
響希君は、僚君と顔を見合わせる。
そして、口を開いた。
「もしかしたら。華鈴は、『妖念感』の能力があるんじゃないかって」
「ようねんかん?」
聞いたことない言葉に首は傾げると、僚君が教えてくれた。
「『妖の念を感じる』って書いて『妖念感』。念だけじゃなくて、出会った妖の夢を見たり、妖の記憶が見えるんだ。この能力はものすごく稀」
「倒れるのは、そのせいなんだね……」
「俺たちと出会う前には、倒れることあったか?」
「ない。妖が見えるだけで、話したことなかったから。二人に出会ってから、妖と話した」
「ちなみにだけどね。キノカサが言うには、妙月様も、妖眼と妖念感の持ち主だったんだって。その能力が目覚めたのが、三歳になってすぐ。越後まで来ていた封魔師の薦めで、半年後に京都に向かって、封魔師になったらしいよ」




