第肆話 結
キノカサと妙月様の様子が、私の意識の中を、走馬灯のように駆け巡った。
――キノカサ。我とともに、越後の国を彷徨く殺鬼を、封じないか?――
――『旅は道連れ』とでも言いたいのか?――
――ほほぅ。殺鬼を封じながら、越後中を旅するのも良いな。封じ終わったら、大和の国中をともに旅できたら良い――
――そなたの力には、興味がある。若人で封魔師になったそなたに、何故、あれほどの力があるのか――
――それは、我も同じだ。キノカサの妖力がなければ、殺鬼は封じられんかったのだ――
――ならば、そなたの式神にでもなろう。そなたの側にいれば、数多くの魔封術が観れそうだからな――
見ていた光景が、一瞬で変わった。
どこかの神社の境内のような場所に、キノカサと妙月様はいる。
妙月様は、地面に陣を描いている様子。
――よし。待たせたな、キノカサ。この陣の中央に入ってくれ――
――契約の儀か――
――そうだ――
キノカサが陣の中央に入ると、妙月様が呪文を唱えた。
陣は光だし、外周には風が巻き起きる。
なんとも言えない、摩訶不思議な……。
言葉で言い表すことができない光景を、目の当たりにした。
***
「華鈴!!」
「りんちゃん!!」
聞き覚えのある声で、目を覚ますと、私はベッドの上。
多分、ここは私用の部屋。
「ここは……?」
自分でも驚くくらいの、消え入りそうな声。
『気が付きましたか?』
シキの声だ。
体勢を変え、声の方を向く。
「うん。ありがと」
上体だけでも起きたい。
身体に力を入れ……。
「あれ? 力が入らない……」
この声に反応するように、響希君と僚君が助けてくれた。
「りんちゃん、起きたいの?」
「待ってろ。助けるから」
二人のおかげで、なんとか起きれたけど、頭がクラクラする。
『華鈴。大丈夫か?』
「うん」
キノカサの声に、私は頷く。
そうだ。キノカサから妙月様のことを、詳しく聞きたい。
「ねぇ、キノカサ。妙月様と、旅はしたの? 新潟県内から始めて、日本中を旅する約束したよね? 妙月様のことを、詳しく聞きたい」
私の言葉に、驚きを隠せないでいるキノカサ。
キノカサだけじゃない。
シキも、響希君も僚君も、驚いている。
『どこで、それを知った? 妙月は千年前の人間だぞ』
正直に話すしかない。
そう思った私は、夢で見たことを話した。
『なるほど。見たのか……』
「契約の儀を行う前に、話したでしょ?」
『話した。聞けば、妙月も旅好きだった。越後から京の都までの旅路が、始めての旅だったらしい』
少し間を空けて、キノカサは続ける。
『それでは話そう。妙月のことを』




