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紅蓮荘奇譚  作者: 天城なぎさ
第参話 トンネルの割れ鏡
24/130

第参話 肆

 この地に、半分人間で半分妖の、女半妖(おんなはんよう)が住んでいたという。


 姿はごく普通の人間と変わらないが、妖力を持つ為に、人間は皆、彼女を恐れていた。

 だから彼女は、いつもひとりぼっち。


 彼女の名も、両親も知る人間は誰もいない。


 妖も、人間の気配を身に纏った彼女を嫌っていた。



 ある日。女半妖が、神社の境内の大木に登り、昼寝をしていた時のこと。


『娘が大木に登って昼寝とは。神様はさぞかし、ご立腹だろう』


 彼女は、聞いたことのない、男の声で目を覚ました。


『危ないから、降りてきなさい。枝が折れて、怪我でもしたら、どうするんだ』


 ――人間が、わたしに話しかけてきた。おかしな人間――



 大木の上から下を見ようと、彼女が身を乗り出した瞬間。

 枝が折れてしまい、勢いよく、地面に叩きつけられ……。


 ――これで、死ねる――


 彼女は目を瞑った。


 ***


「この続きは、見れなかったの」


 トンネルの中で、昨夜見た夢を話す。


「この後って、下にいた男が、女半妖を抱き抱えて、助かったんだよね」

「その後二人は結ばれて、幸せかと思われた。が、女半妖は封印され、男は行方不明。おしまい」

「ちょっと、響希! 何、その終わらせ方!」

「本当の事だろうが」

「まぁまぁ、二人とも。それにしても、なんだろ、気味が悪いって言うか……」

「それは多分、呪詛のせいだろうな。俺は平気だけど」

「僕だって、気味悪いよ。響希は強がってるだけだから、気にしないで」


 コホン。

 響希君の咳払い。


「式神を呼んだ方が良さそうだな」

「呪詛払いできたっけ?」

「多分」


 そう言うと二人は、紙人形を制服のポケットから取り出し、式神を呼んだ。


『なんだここは。呪詛が満ちているじゃないか』

『人間が長時間いたら、呪詛に殺られてしまいますよ』

「そんなに、ヤバい呪詛か?」

『そうですね。我々ではなんとも……。できかねます』


 斑牙(はんが)は、私を見て続ける。


『華鈴殿。貴女の式神なら、浄めの一波を放つことができます。呼んで頂けますか?』

「う、うん。だけど、まだ呼んだことがなくて。名前も知らないし」

『大丈夫。手のひらに、紙人形をのせてください。目を瞑ると、自然とわかりますよ』


 斑牙に言われるがまま、制服のポケットから取り出した紙人形を、手のひらにのせる。


 ――白牙(びゃくが)――


まぶたを開き、その名を呼ぶ。


白牙(びゃくが)、召来」


手のひらから落ちた紙人形。

煙に包まれ、煙がはれると、白い妖犬がそこにいた。


『ふぁあ。よく寝た……。ん? 君が、ボクの(ぬし)?』

「雪村華鈴です。よろしくね、白牙」

『よろしく、華鈴。それで、ボクは何をしたらいいの?』

『白牙、寝起き早々だが、呪詛払いだ。浄めてほしい』

黒牙(こくが)、斑牙姐さんもいたんだ。いいよ。じゃ、やるから、ボクから離れて』

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