第弐話 陸
「吾妻さん。今日の放課後、時間あるかな?」
「放課後? あるけど?」
「京加公園で、会いたいんだって。一緒に行こ!」
朝のHRを終え、吾妻さんに伝える。
てまりには、霞ヶ森から学校に向かう際に出くわして、場所を伝えた。
もちろん、羽織を渡して。
「りんちゃん、ちょっといい?」
席に戻ってすぐ、花里君が私の元に来た。
『りんちゃん』なんて、はじめて呼ばれたからかな。
ちょっと恥ずかしい。
「あのさ、りんちゃんの依頼主。てまりだっけ? その依頼主はね、生き霊なんだ」
「生き霊? てまりが?」
「そう。おかしいと思わない? 生きた猫が、妖なんて」
「言われてみれば……」
気にしてなかった。
てまりが生き霊だなんて。
最初、ちょっと違和感はあったけど、気にするほどではなかった。
「気を付けなね。生き霊は、憑依しやすいから」
「そんな、怖いこと言わないでよ。僚君」
「あ、僕のこと、名前で呼んでくれた?」
ニマ~とした顔。
「えっと、あの、仲良くなれるかなって」
「りんちゃんと仲良くなれたら、毎日が楽しくなりそうだね!」
「どういう意味?」
「いずれわかってくれれば、それでいいよ」
***
わからない。
何もわからないよ~!
確かに、『花里君』から『僚君』に変えたけど。
それはただ、仲良くなりたかっただけで。
「どうした?雪村」
「ううん。なんでもない」
昼休み。
誰もいない多目的教室で、月島君と話す。
「僚のことか?」
なんでわかったんだろう。
「悪かったな。あいつ、好きな人ができると、グイグイいくタイプらしくて」
「好きな人?」
「たぶん僚は、雪村のことが好きだ」
「ふぇ~え!?」
変な声しか出ない。
僚君が、私を好き!?
「まぁ、これは、僚にしかわからないけど」
「そうだよね。僚君にしか、わからないよね」
「とりあえず、依頼に支障が出ないように、俺も気をつけるから」
もしなら。と、月島君が言葉を濁す。
「俺のことも、下の名前で呼んでいいぞ。その代わり、雪村のことも、下の名前で呼ぶけど」
こんなんじゃ、支障出るでしょ!?
でも、まぁ。
仲良くなるだけだし、友人として、二人と過ごせたら良いなと思っているけど。
今はそれを考えずに、依頼を解決させよう。
てまりの為にも。




