第弐話 参
教室の窓から見える、ハナミズキ。
やわらかな薄紅色の花びらを開き、微風に揺れている。
「おはよう。雪村さん」
窓際でハナミズキを観ていると、聞こえたのは、同じクラスの吾妻みずきさんの声。
「吾妻さん、おはよう」
あれ? よく見たら、吾妻の左目の目尻に、小さなほくろ。
てまりが言っていた特徴に、吾妻さんは一致している。
「どうかした?」
「えっ!?」
吾妻さんを見たまま、考えてた。
「ううん。なんでもない」
「ハナミズキ、綺麗だよね。雪村さんは、ハナミズキの花言葉を知ってる?」
花言葉?
「知らない……」
「そっか……。あたしね、ハナミズキの花びらを、集めるのが好きなの。あ、これが、集めて押し花にしたやつ」
鞄から、スクラップブックを取り出して、見せてくれた。
「わぁ。綺麗!」
「一応言っておくと、落ちた花びらを集めて作ったの」
「すごいね!」
「ありがとう」
あれ? この花びら、てまりから受け取った花びらに、なんだか似てる。
「ねぇ、吾妻さん。この花びらって、ハナミズキ?」
制服のポケットに入れていた花びらを出して、吾妻さんに見てもらう。
「ハナミズキだね。雪村さん、拾ったの?」
「知り合いから、もらったの」
二人がまだ来てないけど、吾妻さんに聞いてみよう。
「吾妻さん。二週間前に、猫を助けなかった?」
「猫を?」
吾妻さんの不思議そうな顔。
「花びらをくれた知り合いの猫だったんだけど、しばらく行方不明になってたんだって。昨日、戻って来たみたい。元気だったから、誰かが助けてくれたのかなって」
「もしかして、三毛猫?」
「だと思うけど……」
「三毛猫なら、助けたってより、食パンの耳を少しあげたの。お腹が空いてたみたいで、ムシャムシャ食べてた」
てまりの猫姿を見ていないから、どんな猫なのか、私は分からない。だけど、ここは話を続けなきゃ。
「そっか。良かったぁ。吾妻さんなんだね。知り合いが、お礼をしたいって言ってるの。会ってもらえないかな?」
「そんな、たいしたことしてないよ」
「猫の恩返しだと思って、会ってほしいな」
「わかった。いいよ」
***
「えー! 見つかったの!?」
昼休み。視聴覚室にて、二人に話す。
昨日の今日で解決してしまったワケで、只今、驚かれている最中。
「吾妻が、命の恩人なわけか……」
「今回の依頼、雪村さんにおまかせしちゃう? 僕たちも、他で依頼を受けてるし」
「その方が良さそうだな。今回の依頼の依頼主に、俺らは会ってないから」
「と、言うわけで。雪村さんにその依頼を、お願いするね。ひとりだけど、順調そうだし」
私だけで、完遂させるの!? 月島君も、花里君もいないの!?
「私、ひとりでやるの!?」
コクリ。と、二人に頷かれた。
「雪村さんなら、大丈夫だって!」
「俺たちは手伝えないけど、シキがいるから、安心してくれ」




