第弐話 弐
「それで、引き受けたのか」
てまりが帰った後に、月島君と花里君が来た。
とりあえず、引き受けたことを、報告する。
「うん。多分だけど探し人は、同じ高校にいるはずなの。だから……。ごめんなさい。勝手に、二人に相談しないで、引き受けちゃって」
「謝らないで。雪村さんは、何も悪くないよ。同じ高校にいるようなら、探すのは簡単だろうね」
「俺らが、もう少し早く来れたら、良かったんだろうけどな」
「手掛かりになりそうな物は、預かってる?」
「ちょっと待ってね……。えっと」
鞄の中から、薄紅色の花びらを取り出す。
「これなんだけど……」
テーブルの上に置いた花びらに、二人の視線が移る。
「花びら?」
「花びらが、手掛かりなのか?」
「てまりが言ってたの。『頭の撫でてくれたとき、肩から落ちてきた』って」
「そっか。じゃあ、手掛かりとして使えそうだね」
『そろそろ、帰る頃ではありませんか?』
シキが、木の間に入ってきた。
「もうそんな時間か……。明日から早速、探すか」
「そうだね。花びらは、雪村さんが持ってて。明日、教室でまた話そう」
「わかった。じゃあ、また明日」
***
翌日。
学校に向かって歩いていると、てまりが私の前に現れた。
周りに人がいないことを確認して、てまりと歩きながら話す。
『華鈴様、おはようございます』
「おはようございます。てまり。この辺りに住んでいるんですね」
『そうです。この辺りは、わたくしのテリトリーと言いますか、家ですね。あ!!』
いきなり、大きな声になるてまり。
妖だから、普通の人にはてまりの声は、聞こえない。
「どうしたの?」
聞くと、私たちの少し前を歩いている、同じ高校の制服を着た女子生徒を指さした。
『あの方かもしれません。なんだか、雰囲気が似ています』
「本当に?」
周りには何人もの、同級生や先輩たち。
他の人から見たら、ただの一人言だろうけど、依頼主が側にいる以上、てまりにだけ聞こえる声で。
『雰囲気ですので、ハッキリと言えませんが……』
うやむやなまま、校門が見えてきた。ここから先に、てまりは来るのだろうか。
「てまり、どうします? 学校の中に入りますか?」
『貴女には、人間のような姿に見えるかと思いますが、普通の人間には、猫にしか見えないんです。ご迷惑をおかけしてしまうので、わたくしはここまでで、失礼いたします』
校門前で、てまりと別れると、どこかにお散歩なのだろう。
校門前を通りすぎ、どんどん歩いている。
あとは私たちで、てまりの命の恩人を探そう。




