第拾参話 陸
翌日、僚君は学校を休んだ。
僚君のお祖父さんから、僚君が学校を休むことの連絡が、来たのだそう。
「珍しいね。花里が休むなんて」
「先生は風邪って言ってたから、大丈夫だと思うけど」
「現実はそう甘くない」
朝のSHR後、隣の席の吾妻さんと、響希君とで、僚君の話をした。
「どういうこと?」
「まさか、響希君。言っちゃうの?」
「吾妻なら、俺たちの能力ことを知っているからな。言ったって大丈夫だろ」
「でもさ……」
「何があったの? 花里は風邪じゃないってこと?」
吾妻さん。鋭い勘をお持ちのようで。
「まぁ、そう言うことだな」
「妖怪関連ってことだよね。二人は、休んだ本当の理由を知っている」
「うん。知ってるよ」
「何があったの?」
周りに聴かれたら、私たちの秘密が、多数のクラスメイトにバレてしまう。
そんなことは、出来る限り避けたい。
「えーっと。こんな事になったの」
私のペンケースから付箋とシャーペンを取り出し、僚君が休んだ本当の理由を書いて、吾妻さんに渡す。
受け取ってくれた吾妻さんの表情は、見るまでもない。
「嘘でしょ? そんなことある?」
「妖怪関連なら、あり得る話なんだ」
「でも、人を呪う神様なんて、いるの?」
「いる。僚は今回で二回目なんだ」
「怖すぎる……。どんな呪いなのかは、わかんないけど」
チャイムが鳴り響き、私たちの会話は強制終了。
響希君は自分の席に戻っていった。
***
昼休み。響希君といつものように、視聴覚室にて話し合う。
「はぁ。なんとか午前は終わったな」
「あと半日だけど、授業の内容が全然入ってこないよ」
「シキも斑牙もいるから、心配ないんだろうけど、二回目ともなると……」
コンコンコン。コンコンコン。
「なんだ?」
「窓を叩く音? ここ、四階だよ?」
窓のち方を見てみると、斑牙が窓の外で浮いていた。
窓を開け、斑牙を中へ。
『ありがとうございます。華鈴殿』
「それより、どうしたの? 僚君に何かあったの?」
『そうなのです。今回の呪いは、かなり強力でして。シキをはじめ、キノカサ殿、妙月様、ヒサギ殿の妖力を合わせましても、完全に祓えなかったのです。そこで、黒牙と白牙の力を借りたいのです』
「わかった。すぐに、黒牙を呼ぶ」
「ちょっと待ってね。すぐに呼ぶから」
そんなに強力な呪いなんだ。
僚君を助ける為に、やれることはやりたい。
制服のポケットから、紙人形を取り出し、召来の呪文を唱える。
「黒牙、召来」
「白牙、召来」
手の平から滑り落ちた紙人形は、床に落ちると、白い煙が紙人形を包み込む。
数秒後、煙が消えると、そこから妖犬が現れた。
『珍しいな。平日のこの時間に呼ぶなんて』
『斑牙姐さんがいるってことは、僚に何かあったんだね』
白牙の勘も、吾妻さん並みに鋭い。
斑牙から二匹に説明が行われ、すぐさま出掛けて行った。
「今は、任せる事しか、出来ないね」
「呪いを祓えるような、術師の力があれば……」




