第2話俺?それとも私?
さて、俺は今とても面倒くさい状況にいる。
何故か。それは、姉と共に行動することを義務付けられているにも関わらず単独で行動したからだ。
「いや、行ってくるってちゃんと報告したよ。うん。」
まや「だれに?」
こいつは#井ノ上摩耶__いのうえまや__#。
ああ、そうだよ。姉だよ。血の繋がりはねぇ!
「せいまに。」
せいま「おかしいな…聞いた覚えがない…」
「てめぇ…」
まや「うそをついたのね。」
「いや、うそついたのこいつだから。」
みずき「うそはだめだよー、お兄ちゃん。」
こいつは#井ノ上瑞希__いのうえみずき__#。
なんだよ。聞かなくても分かるだろ。妹だよ。
そう、姉が2人、妹1人。それが俺の家族構成だ。俺が知ってる神の子孫の中で唯一の家族持ちだ。
羨ましいって?いやいや、そんな事はない。
俺は家族を信用していない、俺はここに居たのではない。自分から来たわけでもない。無理やり連れて来られたんだ。この場所に。
俺は1年前、重大な秘密を握られた。
「はあ…はあ…」
「敵は倒しきったが…さすがにきついな…」
「あ…」
気を失った。完全に。そして倒れる瞬間、人影が見えた。敵か?敵なら俺は死んだだろう。間違いなく。それはそれでいいか。悔いはない。
「んん…」
なんだ、生きてる。いや、どこだ?ここは。
「ここは…」
ゆみ「あ、やっとおきた!」
「私は確か…」
まや「ゆうきちゃん。でいいのよね?ごめんね?財布を確認させてもらったの。」
「…大丈夫です…」
頭が痛い。まだ回復しきれていない。
みずき「ゆうきちゃん大丈夫ですか?」
「ゆうきちゃん…?私はおと…」
ん?ん?????
まずい、まずい、まずい!!
昨日の時点ではトランスδだったはず…!
…そうか!気を失って自動的にトランスβに移行したのか…!
移行の瞬間を見られたか…?いや、倒れる瞬間にみた人影がこいつらなのか…?
「あ、あの…」
まや「ゆうきくんの方がよかった?」
!?!?
ちっ!やるしかない!トランスが性別をも変えてしまうこと、それは俺の大きな弱点だ。どこが弱点かって?性別が変わることを知られるのが精神的に辛いんだよ!俺にとってはつらいの!
今はトランスβ。魔法特化だ。ならば…
「はぁー!!!」
軽く爆発をおこし…
ゆみ「無駄だよ、魔法でまや姉に叶う奴はいない」
まや「ごめんね?」
「くっ!ならトランスαに移行!」
あれ?移行しない…
「トランスα!トランスα!トランスα!」
まや「あなたは今体力を使い果たしているの。
#男の子__・__#の体にはなれないわ」
いや、そーゆう言い方するんじゃねぇよ。トランスαだ!トランスα!気にしてんだよ!こっちは!
「え、えっと…ど、どうしよう…」
やばい泣きそう、男の俺はどこいったんだー?
おーい…あ、元々の性別が女だったのか…?
ん?なんかわかんなくなってきたな…
それにどうも視界がぼやけて…
まや「あ!ゆうきちゃんしっかりして!ゆうきちゃん!」
そして俺はまた倒れた。