霞の話
今日も霞は隠すんだ
全てを霞で隠してく
人を霞で隠すんだ
獣を霞で隠すんだ
花を霞で隠すんだ
そこには差別はなにもない
霞は全てに降りかかる
霞は全てに被さって
そして霞の奥に隠すんだ
霞は全然分からない
何をしたいかも分からない
ただただ皆を隠すんだ
どこでしたいかも分からない
どこでも霞は隠すから
全てに平等に隠すから
それはとても幸せで
それはとても悲しくて
冷酷無慈悲に隠すんだ
霞は人とは違うから
霞はなにも差別しない
今日も霞は隠すんだ
僕の足を隠してく
次に体を隠してく
最後に頭を隠すんだ
そして視界を隠すんだ
そこにあるのは霞だけ
明るく見える霞だけ
クリーム色の霞だけ
だけれど怖い霞だけ
そうして僕は歩いてく
今日も僕は歩いてく
なにも見えない霞のなかを
なにも分からない人生を
霞を体に纏ってさ
体を霞に纏ってさ
そうして僕は歩いてく
霞という名の人生を