表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

エルフ

なんか台詞少なくてすみません;;

そして、あと数ページは主人公不在。

「じゃ、次はウチ行ってきまーす!」


まだディルが回復しない内に、リアナは元気よく魔法陣の上へと足を踏み入れた。そして、笑みを浮かべながら一言。


「ウチそんな強くないからちょっと不安……でもまあ、なんとかなるか!」


……なんとも楽観的な言葉である。

それがリアナのいいところと言えばいいところなのだが、同時に悪いところでもある。その様子をカティアは眉を顰め、少々心配そうに見つめている。


「えーっと……我が望むは遠距離戦を得意とする者。我が求めるは"空気の眷族"。顕現されたし、我が名は――リアナ=ユオン」


目を伏せ紡がれたその言葉。すると、今度は薄緑色の光が魔法陣から放たれた。それは目を逸らす程の眩しさではなく、どこか優しげな色をしていた。

その光は少し経つと消え、代わりに、リアナと同じ髪と瞳の色を持った青年が、魔法陣の上に佇んでいた。


その青年の耳は長く尖り、美しい容姿をしている。見たところ、種族は中級のエルフと言ったところか。


「ワタシを呼んだのは貴様か、人間」


ギロリと鋭い睨みをリアナへと向ける青年。その青年はかなり警戒心を露わにし、背中に背負われた弓矢へと手が伸びている。


「そうだよ! そんな警戒しなくても、ウチ何もしないって!」


向けられているのは殺気の籠った睨み。にも関わらず、リアナは能天気な笑みを浮かべていた。それを見て怪訝そうに表情を歪める青年。

そんな奇妙な様子を、カティアは相も変わらず心配そうに見ている。

やっと回復したディルは、今後どうなるのかな、といった好奇心旺盛な瞳を向けていた。


「ふん、人間の言葉など信じられるか」


嫌悪感を隠さない声音。相当人間嫌いなエルフのようだ。

警戒心を解かない、というより戦闘態勢に入り始めた青年を見て、困ったような笑みを浮かべるリアナ。このままでは、戦闘になってしまう。


だが、使い魔召喚では戦闘など珍しくもなかった。それは、契約方法として力を見せつける、といったものがあるからである。

そのほとんどがドラゴンなどになるのだが、たまに人間嫌いな者も、戦闘を契約方法とすることがある。


「ウチ、あんま戦いたくないんだけどなー」

「強さを証明しなければ、ワタシは契約などしない」


弓を構え、リアナを睨み続ける青年。それに対し、彼女は困ったように髪を掻き乱し、何もつけていない素手で構えをとる。


「……行くぞ」


殺気を込めた瞳をリアナに向けながらも、攻撃することを伝える律儀な青年。本来の戦闘ならそんな言葉余計なのだが、彼は真面目で卑怯なことが嫌いな性格のようだ。


弓を弦を力の限り引き、まとめて三本の矢をリアナに向けて射る青年。矢が三本も向かってくることなどお構いなしに、彼女は青年へ向け勢いよく走り出した。


「ウチ、遠距離戦苦手なんだよん!」


物凄い速さで向かってくる矢をちゃんと目で追うリアナ。その矢が自身のどこをつらのこうとしているのかを瞬時に理解し、彼女は回避するために身を沈めた。

頭上を通過していく矢を確認すると、足に力を籠め一気に前方へと跳び、青年の懐に入り込む彼女。


まさか自分の懐まで入ってくるとは思ってもいなかった青年は、その整った顔を驚愕に染めた。


「ファイトォォォ! パーンチ!!」


躊躇も、手加減もすることを知らないリアナは思い切り青年の腹に拳をねじ込ませた。魔力のコントロールが苦手な彼女は必然的に魔法も苦手となる。

そのため、彼女は近距離を得意としていた。己の体を使った戦闘方法。


「グッ……ッ…!」


カラン、とくの字に体を曲げた青年の手から弓が落ちる。青年は、リアナとは逆に近距離戦を苦手としていたようだ。

地面に膝をつき、腹を押さえる青年。


「勝利ぃ!」


リアナの食らわした一発で動けなくなった青年を見て、彼女は拳を空へと突き上げた。心の底から楽しそうな笑み。

この結果を見る限り、ゼノの疑問は解決した。

青年と戦ったリアナは笑い、楽しんでいる。


彼女が勝ったことにホッと一息ついたカティアは、僅かに口角を上げ微笑む。


「ねぇ、君。勝ったんだから、ウチと契約してくれるよね?」


腹を片手で押さえながら立ち上がった青年の顔を覗き込み、問いかけるリアナ。青年は悔しそうだったが、自分の言ったことは曲げないつもりなのか、渋々と言った感じに頷いた。


「主と認めよう。ワタシの名は、テオドロス」


青年、テオドロスがそう呟くと、二人の左足首が淡い緑色の光を放ち、葉の形をした緑色の紋章が浮かび上がった。

ディルに引き続き、リアナも無事契約を終わらせた。


ゼノたちの所へ戻ってくると、カティアと片手を叩き合わせ、入れ替わるようにカティアは魔法陣へと向かって歩んでいった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ