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その少年 怪異につき  作者: トーキョーの妖
2/2

『その少年,怪異につき弐』

「うああああああああ!!」


心臓が止まるところだった!

でも、そんな事いってる場合じゃない!!


とにかく逃げないと…


だが相手は息のかかるほど近くにいるのだ。逃げようがない。


今度はからだ全体をがっちりつかまれ、何故だか指一本も動かせなくなってしまった。


やばいやばいやばいやばい


このままじゃ…喰われる?


嫌だ、俺はまだ死にたくないんだよ!!

誰か、誰でもいいから…

「俺を助けてくれ!!」








『仕事帰りに騒がしいから立ち寄ったのだけれど、また、仕事かしら?』


「え?」


突然声がした。

心に響くような透き通った女の声。


その直後


「コロシヤダ …コロシヤガキタ ニゲナイト」


俺を取り巻いてい『なにか』は、さあああ…と俺から離れていった。


そして体が自由になる。


「え、これ…は…?」


何でいきなり消えたんだ?

殺し屋って言ってたよな?


「お客さん…じゃ、ないわね。あら?アナタ…」


地べたにへたれこむ俺に一つの冷たい手がのびる。その手に顎をクイと持ち上げられ目に写ったものは、一人の女の姿だった。


「アナタ…アカリよね?」


アカリ?またそいつか。さっきの妖怪にも間違えられた


「俺はアカリじゃなくて真陽です。」

「まひろ?…………あぁ、そうだったわね。アカリはただの人間。寿命をまっとうすれば死ぬ生き物。じゃあ、貴方が受け継いだのかしら?」


この女の人が何を言ってるのか理解できない。

でも、助かった?


「まぁ、いいわ。いや、良くないわね。アナタがアカリだろうがなかろうが、どちらにしろ私達と巡り会う運命だし…」


運命?


「えっと、アナタは?」


初対面の人だから一応身分を聞いておこう。向こうは俺を知ってるみたいだけど…


「名は体を表す。簡単に教えて良いものじゃないけれど、私が今使っているのは真名じゃないから教えてあげる。」


真名じゃないってことは偽名か?


「キリエよ。この名前はとても強い人からもらった偽名なの。真名は教えない」


偽名を使う理由がわからないからこれも聞いておこう。


「何で偽名?」

「真名は魂と同然。己を表し、体と魂をつなぐ鎖でもある。だからそう簡単に教えられないのよ。誰かに自分の魂をつかまれてるなんていやでしょう?まぁ、アナタは自ら名乗ったけど、」


これはオカルトチックなものなのか?名前が魂を表すなんて言う人漫画の世界でしか見たことがない。



「…………意味が分からないんスけど、」


「まぁいいわ。で、アナタ、苗字は?」

「月入です」


「つきのいり…意味ありげな苗字ね。じゃあ月入、私についてきなさい。」


黒髪の女はいきなり呼び捨てでいきなりついてこいと俺に言う。

今あったばかりの俺に

これが逆ナンってやつか?


だが俺は夜までに家につかなくては



「俺帰らないといけないんで」


「…アナタ、見えるんでしょ?」


唐突に意味不な事を聞かれる。

見えるって、何が?


「さっき絡まれてたじゃない」


絡まれてたって…え?それって妖怪の事か?

いや、見える人に会うなんて滅多にないよな…

でもしかし、念のため確認しておこう。

俺以外に見える人がいるのか、

だとしたらこれほどの喜びはない!!

「見えるって例えば?」


「普通の人には見えない異形なもの。アナタが見てるのと同じよ」




この人にも、見えるのか!?

あの気色悪い生き物が!!


「あ、あの…俺達…同じなんス」

「違うわよ。アナタと私は同じなんかじゃない。」


言い途中で遮られた。

しかも同じなんかじゃないって…


「詳しくは後で話すわ。とにかく、私ときて。そっちの方がアナタにとっても安全でしょうから」


「安全?いくってどこにっスか?」


「私達の事務職よ」

「事務所ぉ?なんのですか?いやっスよ、俺オカルト団体になんか入りませんから」



「ごだごだ言わずくればいいのよ」


キリエさんとかいう人はどこからか出した紙を俺に向かって投げる。

何やら不気味なかたちをした紙だ。

人型の形のように見える。

そんな紙が飛んできたから軽々と避けようと思ったが



その紙は目の前で巨大化し、俺を包み込む用にしてかぶさった。


「うぎゃーーーー!!これなんスか?誘拐!?」

大胆な誘拐方法だこと!!

普通隠れてするもんじゃないの!?


「違うわよ、ちょっと話がしたいだけ、」


「え?」


その後の記憶は曖昧だ。

いや、曖昧というより無だ。

何にも覚えていない。

でも、目をさました時の頭痛からすると、おそらく頭でも殴られて気を失ったのだろう。

全く意味がわからない。

妖怪に絡まれて突然消えたかと思ったらあの女の人がいて、

逆ナンされたかと思ったら誘拐されるなんて…


しかも、


「ひさしぃなアカリよ!!元気じゃったか?」

目が覚めたとき始めに見たものは、まだ小学生以下にも思える幼女の姿だった。

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