其ノ一『その少年,怪異につき,壱』
今回は妖とか噂話が現実に起こる世界の話を書いてみました!
まだ始まったばかりですが面白くしていきたいです!
人間は噂を絶え間なく流し続ける。
それは現実には有り得ない作り話や、確信のない話。
でも、そんな噂は消えてなくなるわけじゃない。
"人"によって作られ、"人"に信じられた噂は、もう噂ではなくなる。
作り物の話でも、多くの人間に信じられればそれはもう、事実になるのだ。
この世界には多くの怪談がある。
それも人に信じられてしまえば、現実になる。
ある人間は噂話から現実になったものを、怪異と呼ぶ。
怪異は人々からしては、霊だの妖怪だの、悪魔にあたる生き物だ。
人の想像力は"異物"を産み出す。
その"異物"がまさに怪異。
神隠し、幽霊、ドッペルゲンガー、親指探し…
人は一体、いくつの怪異を産み出したか…
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「ついてくるなよ…」
学校下校時、
少年はいつものように帰っている最中だ。
「言葉通じないのか?」
周りには人がいない。
この道には今少年一人しかいないはずだが、この少年は何やら一人で喋っている。
「毎日毎日…しつこいんだよお前ら!」
誰も後ろにはいないのに、少年は振り返ってどなりだす.一体誰に話しかけているのか…
「うわ…増えた…」
何なんだよコイツら!
毎日毎日俺を追いかけて…
しょうがない…今日も走るか…
「じゃあな!俺帰るから!………って、え?」
少年はいきなり走り出したかと思うと、信じられないものを見たような目をして立ち止まった。
「何で…今日はこんなにいっぱいいるんだよ…お、俺を追いかけるなーー!!」
どうやら少年には何かが見えているらしい。普通の人には見えない何かが…
「くそっ!!つかむな!引っ張るなって!何すんだよ!」
もうイヤだ
前まではついてくる程度だったから耐えられたものの…
「今日はなんだってんだーーーー!!」
其ノ一『その少年,怪異につき壱』
俺には見える。
そして触れられる。声も聞ける。
でも、それは俺がおかしいから?
アイツらはただの錯覚なのか?
俺が 見ているものは何だ?
「カエッテ キタンダネ ア…」
「喋るのか!?」
俺はここ最近、"なにか"に追いかけられている。
最初は兎サイズだった"それ"も、 日に日に大きさを増し、昨日には大人の馬くらいの大きさになっていた。
"俺を追いかける" それ以外に害はなかったからほっといたものの、
今のこの状況は何だ?
馬から大人のゾウ、いやそれ以上の大きさに膨れ上がった"なにか"は、今俺の足首をガッシリ掴んではなさない。
重くてこれっぽっちも歩けやしない!!
何なんだよ一体…
コイツらはなんで俺につきまとう?
「カエッテキタ… ンダネ 」
また喋った。
はっきりとは聞こえなかったけど、多分
「帰ってきたんだね」 と。
「離せ―――!離しやがれ!!俺は女の子以外に足引っ張られんのキライなんだよ!!」
「オ カエリ…ヤット カエッテキタ」
また。また喋った。
「おかえり、やっと帰ってきた」と、
「やっとって!学校行ってからまだ7時間くらいしかたってないし!!それに俺にはお前らみたいな気色悪いお迎えはいらん!」
しかし困った。
コイツらに離してもらえない限り俺は家に帰れない。
別に家に待ってる人は居ないけど、俺は早く帰らないと…
太陽が沈む前に
でも、そもそもコイツらってなんなの?
幽霊、それとも妖怪?
いや、俺の頭がイッちゃってるだけかもしれない…
「ア…アカリ、アカリ…カエッテキタ」
「明かり?太陽はまだ出てるぞ、明かりならある。」
でも俺の頭がおかしい、という可能性は小さいかもしれない。
現に俺は今、足をつかまれ、重くて動けないんだから …
やっぱコイツ妖怪?
「いつまでつかんでんだ。俺は帰らないといけないから、もう離せ」
「カエル ?ド コニ カエルノ?ア カリノ カエルバショワ …」
ん?また大きくなったか?
妖怪的なものは更に増え、大きさを増し、俺の足を強く引っ張る
「なになになに!?何で引っ張んだよ!?転ぶ…転ぶからやめ」
「カエルバショワアッチジャナイ」
「!?」
ゾウの倍近くになった妖怪に勢いよく足をひかれ、バランスを崩し転倒してしまった。
だが妖怪はそのまま俺を家の反対方向に引きずる。
「やめろよ!そっちは家じゃない!離せ!ケツがすれるだろうが!!」
家の反対方向には森がある。
その森は迷ったら死ぬしかないと言われるほど危険で近付くものは誰もいない。
でもコイツはその森に俺を連れていこうと引きずっている。
俺を殺そうとでも考えてんのか!?
だが、素直に引きずられてたまるか!!
「ふ ざ け ん な!このデカブツ!!」
もう片方の足で俺をつかむ部分を思いきり蹴ると、一瞬力が弱まった。
その隙に足を抜いて急いで逃げる。
なんか分かんないけど、アレはヤバイ!!
昔からああいう輩にからまれる事はあったけど、この町に越してきてからはそれが増えた。
前まで住んでいたところは都会だったから妖怪みたいなのは少なかったけど、この町みたいに山とか自然が多いい田舎には妖怪が多く生息しているようだ。
「アカリ ドコイク? カエッテキタンデショ?」
「さっきからアカリアカリって!そいつは俺の事言ってるのか!?」
走りながら叫ぶのは結構キツイ。
でも散々妖怪から逃げてきた俺にはそんなことはらくちんだ。
「俺はアカリじゃない!俺は真陽!月入真陽(つきのいり まひろ)だ!!」
「アカリジャナイ?」
「そうだ!人違いだからもう追いかけるな!!」
俺は結構足が早いほうだから、妖怪との差は50㍍以上ついただろ?
その筈だが、妖怪の声はまだはっきりと聞こえる。
疑問におもい振り返ってみると、
『アカリジャナイナラ タベテイイヨネ?』
「は?」
振り向いたその先には、息がかかるほど近くにいたその妖怪だった。
コメ待ってます!
その前に、読んで下さってありがとうございます。
これから盛り上げるので、読んでいて面白かったら愛読お願いします(/--)/
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