始めの授業はクラス戦!?そして敗北。
あの後寮に戻ると、朝日はもう出ていた。「おぅレン、今日は遅かったな。」
「同学年の人と会って話し込んでた。」
「お?早速友達が出来たのか?よかったな。」
これで学園での知り合いが二人になった。美月さんと光華ちゃんだ。おんなじクラスになれたらいいな、と思いながら学園へ向かった。学園に入ると、カードが光り出した。カードを取り出してみると、そこにクラスが浮き出ていた。
『石口蓮壱年壱組』
クラスは壱組から拾組まである。一クラス約四十人なので一年生だけで四百人もいる。クラスの分け方は、全員の能力が平等となるように振り分けられる。二年に上がるクラス分けも同じように均等に振られる。留年制度は無く成績が悪かった者はカードに強制勉強と言うものが付けられ成績が良くなるまで、1日三時間勉強しなくてはならなくなる&娯楽の禁止。勉強はともかく、娯楽の禁止を嫌がり成績を悪くしないようにするらしい。
自分のクラスを知った僕は壱組の教室に向かった。クラスはし~んとしていた。本を読む者、音楽を聞く者、何もせずボーっとしてる者。そうして周りを見ていくと、見知った顔を見つけた。美月だ。何だか久々に見えた。
「美月、久し振り!」
「え?」
いきなり声をかけられ驚いたのだろう。慌てた感じで振り向いた。そして僕を見て、考えたような素振りを見せた後、思い出した、という顔つきになった。
「お久しぶりです、レン君。」
「……。今忘れてたよね?」「い、嫌だなぁ。忘れるなんて……あるわけないじゃん?」
「何で疑問系!?」
久し振りの再開だが、周りの空気に押しつぶされそうになった僕は、また後でと言い自分の机に向かった。しばらくして担任が現れる。担任が軽く自己紹介してから、僕達の自己紹介をする事になった。
「石口蓮です。武器は片手剣と銃です。よろしく。」
「徳川光華です。武器は片手剣です。よろしくお願いします。」
「藤田美月です。銃を使います。よろしく。」
自分の席に着いてからしばらく机を見ていたので、光華ちゃんがいることに気付かなかった。僕は光華ちゃんが自己紹介した時に光華ちゃんを見た。その時、僕に笑いかけてくれた、気がした。自己紹介が終わり、早速授業が始まる。僕らの最初の授業はクラス対抗の戦いだった。このクラス戦は年に一度の最初の授業にやる。これはクラスみんなに連帯感を持たせ、仲間意識を作る事で話しやすい環境を作るためである。優勝クラスにはカードに1,000G入金される。
Gとはこの学術都市内で使えるお金の事だ。1Gを円に直すと1円になる。Gは寮戦、クラス戦、試験などでいい成績を出すと貰える。外には月の初めにも1,000Gもらえる。Gは一年経つとリセットされてしまうので一年のうちに使わなければならない。
僕らはぞろぞろと校庭に集まる。校長の話が終わり、プロテクトの魔法がかけられ亜空間に飛ばされた。寮戦でいつも使っている亜空間に出る。寮戦と違うのは、味方に攻撃が当たらないという事だろう。クラス戦のルールは敵を1人倒すと倒したクラスに1ポイント、倒されたクラスに-1ポイント、陣地にある魔法石を破壊すると、破壊したクラスに100ポイント、破壊されたチームに-100ポイントだ。このポイントが一番高いクラスが優勝する。
「さて、行きますか。」
僕は右手に剣、左手に銃を構える。
「レン君、私も行きます!」
そう言って近付いてくるのは美月だった。「それじゃ、一緒に行こうか。」
光華ちゃんも誘おうかと思ったけど、防御陣のほうにいたので諦めた。
僕らは弐組の方へと向かった。
「弐組ガード堅すぎだ……。」「そうですね、他のクラスにしましょうか?」
弐組は大体八割型が守りに入っていた。あそこに突っ込むものなら直ぐにやられるだろう。
「いや、ここは誘き出そう。美月、銃を構えて。」
僕と美月は銃を構える。そして僕らは廃屋に隠れ、弐組に近づく。
「今だ。打って。」
美月が弐組に向かって銃を撃った。それに対し撃たれた奴はと近くにいた2人を連れこちらに向かってきた。
「かかった!」
僕らは廃屋の中に入る。
「どこにも人なんていないじゃないか。」
「どっかの廃屋に隠れたんだろう。不味いな。」
僕と美月はそいつらに向かい銃を撃つ。
「ちっ、ちょこまかと……。」
「だが、探す手間が省けたな。行くぞ!」
そいつらはこの廃屋に入ってくる。僕らは上に登り上から敵を撃ちまくる。
そしてついに屋上に僕たちは着いた。
「追い詰めたぞ。」
そして、階段を上がってくる音がする。
(今だ!)
僕は剣を持ち敵に突っ込む。いきなり階段の上から人が降りてくるとは思わなかったのだろう。そいつらは動揺していた。僕は躊躇いなく敵を斬りまくった。前にいた銃の二人組に攻撃している最中に後ろから、銃を向けられた。
「調子にのるなぁぁぁぁぁぁ!がはっ」
叫んだと思いきやそいつはよろけていた。美月が銃で援護射撃をしてくれたらしい。僕は銃の二人組がプロテクトを破壊された事により消えて行くのを確認すると、飛び降りて先程叫んだ奴に飛び乗る。そしてそいつのプロテクトも破壊した。
「よし!先ずは3ポイントゲットだな。」
「やったね!レン君。」
「って、なんだ?カードが光り出した。」
「あ、私のカードもだ。」
カードを取り出す。
『壱組、肆組より猛攻を受けています。』
とだけ浮き出ている文字。
「肆組の奴ら、守備を捨ててるのか!?」
「助けに行かなくちゃ……。」
助けに行くか、攻めにでるか。どうすればいいんだ?
(何を迷う必要がある。助けに行くしかないじゃないか!)
「美月、走るぞ!」
「はい!」
僕らは壱組の陣地へと向かった。
「まじかよ……。」
陣地には敵に囲まれていた。前衛が盾となり後ろから銃で応戦しているが、前衛が押され気味であった。
「突っ込むぞ!銃で撃ちまくれ!」
俺は銃を撃ちながら剣を構える。美月は銃だけを撃っていく。
「はああああああああああああ!」
力の限り剣で相手を叩いて道を切り開く。「大丈夫か?みんな。」
「俺はまだ何とか……。」
「僕はプロテクトが切れそうです。」
「プロテクトが残ってる奴は前衛と交代しろ!」
僕は叫んだ。そして、僕は銃で仲間をカバーしつつ、敵に切りかかる。そしてその戦いが数分続いた。慣れない片手剣とサポートの銃で体力が減っていき、僕は敵の攻撃を何度か食らってしまった。苛ついた僕は目の前の敵に力一杯斬りつけた。明らかな隙ができた僕の背中に剣撃を入れられた。そして……
パリィィィィィン
ガラスが砕け散ったような音が鳴り僕は光に包まれた。プロテクトが破壊されたのだ。
「ちくしょうっ!」
そして、僕は校庭に移動していた。慣れていず、さらに技も知らない僕には今回の戦闘はかなり厳しかった。だが、銃と剣を使うことで、守る事やサポートできる範囲が増える事は実感していた。銃と剣の重要性に気付いた僕は、武術の選択の時に気付いた。
(銃と剣の授業って同じ時間にやるのか!?)
ガーーーン
という音が聞こえそうになるぐらい僕はショックを受けた。考えてみたら、銃と剣を両方使う人なんてあまりいない。大人ならいるかもしれないが、子供のうちにそんなに器用に扱える訳が無かった。僕は結局剣の授業を選択することにしたのだった。光華ちゃんも剣を選択したのでこれから一緒に頑張って行こうと思った。