新しい武器
こんな駄文を読んでくださる方々がいてなんというか感動です。
明け方、レン達の寮にて……
「レン、拓也起きて。もう朝だよ!」
寮の中に海斗の声が響いた。
「ん~。まだ寝たりねぇ。」
……
レンからの反応が無かった。
「ほら、レンも!」
そして海斗は気付いた。そこにはレンが居なかったのだ。布団は畳まれており、レンの武器の双剣も消えていた。
「た、拓也!レン見なかった?」
「ん?レンなら隣で寝て……っていねぇっ!?」
「いったいどこに行ったんだ?」
とその時窓の奥で何かが動いていた。海斗はその窓から地面を見下ろすと、双剣を担いだまま走っているレンの姿が見えた。
「はっ、はっ、はっ」リズムを取りながら、僕は走っていた。この時間はいつも外を走っていたので、海斗や拓也に話すのを忘れてしまっていた。
(家の周りを走ってるのと違って新鮮だなぁ。)
そんな事を考えつつ、8キロを走っていた。ノルマは10キロ。既に体が10キロを覚えている。
走り終わった僕はしばらく休憩をして背中の双剣を取り出した。僕はしばらく素振りをした後に、技の確認をしていく。そして背中から声をかけられすこし驚いてしまった。
「レン、頑張るじゃないか。だけど僕達に一言くらい言ってくれると助かるよ。朝起きたらレンが居なくては驚いちゃったよ。」
「すみません。今後は気をつけます。」
「まぁ、朝練してるって分かったし、今後は僕らに話さなくてもいいよ。さてまだ朝練を続けるのかい?」
「いえ、そろそろ上がろうと思ってた所です。」
「それなら食堂に行こうか。ご飯を食べて少し休憩したら拓也が剣を教えてくれるってさ。」
「本当ですか!やった!」
そして僕達は食堂へ向かった。
「レン!海斗!こっちだ。」
食堂に入ると拓也から声がかかった。どうやら僕達の席を取ってくれてたらしい。僕はご飯を貰い拓也の所に向かう。
「ねぇ、拓也。剣教えてくれるの?」
「まぁな。だが教えるって言っても基本の構えや型だな。それだけ出来れば、違和感なく授業は受けられる。と言ってもレンは双剣だからな。直ぐに基本は身につけられると思うぜ。」
「拓也、僕双剣しか持って無いんだけど剣はどうすればいいかな。」
「安心しろ、基本だけだから双剣の片方を使えばいい。」
「そうだね、最初はそれでいいと思うよ。授業が始まったら剣を買いに行こっか。」
「海斗は銃教えるんだよな?銃はどうすんだ?」
「予備がいくつかあるから大丈夫だよ。」
「さて、と基本の構えはOKだな。ってか習得速すぎだろ!」
僕らは訓練を始めていた。しかし30分経つか経たないかといった時間しか経っていないはずなのに構えはいいらしい。
「俺が運動神経鈍いのか?いいや違う!レンがおかしいだけだ!ええぃ、次は型だ!これは簡単には習得できまい!」
そして今度は1時間近くで基本の型を身につけてしまった。
「…………」
「…………」
「…………速すぎだぁぁぁぁぁぁ!」
「えっとえっとすみません!」
拓也が騒ぎ出した。うぅ、双剣の時はもっと時間かかったはずなのに。
「拓也落ち着けって。レンも何謝ってるんだよ。」
そこに海斗がやってきた。
「だって、だってレンが…俺が1ヶ月かかった事を二時間程度で……二時間程度で習得したんだ!」
あ、拓也が軽く涙目だ。
「レンはもともと双剣をやってたんだ。コツを掴むのは簡単だろ。さて、これ以上の訓練は双剣を止めた意味が無さそうだね。それじゃあ、少し予定を速めて僕が今から銃を教えるよ。はいレン。それを君にあげるよ。」
海斗が僕に渡したものは銃だった。銀色のボディに翡翠色の魔法石がはめてあった。
「あ、ありがとう。でもいいんですか?こんな良さそうなもの。」
「レンにあげるためにわざわざ買ってきたんだからね。そうそうその翡翠珠は反動を軽減させる魔法がかかってるんだ。魔力が切れてくると色が薄くなってくるから、たまに魔力を注いであげてね。」
「はい。大事に使わせてもらいますよ。」
「それじゃあ、さっそく訓練を始めようか。」
その言葉と同時に海斗が無数に拳ぐらいの大きさの光の玉を作り出した。
「この光を的にして銃を撃つんだ。反動が軽減されてるから撃ちやすいように撃てばいいよ。」
「分かりました。」
僕は早速銃を左手で構える。
「あれ?左手で大丈夫?」
「双剣使うのには両利きにしなきゃいけなくてね。左手を使うのは、片手剣と両方使いたいからね。」
いままで双剣を使ってたので、両手に武器があったほうが落ち着く。
僕は銃を構え、的を狙う。そして撃つ。
ヒュン
風を切る音が聞こえる。だが的には着弾しなかった。僕は何度も撃つ。
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
だが当たらない。僕のそんな様子を見て、海斗がクスクスと笑う。
「片手剣がすぐに出来たからついいじわるしちゃったよ。」
実は僕もそのサイズを当てることは無理なんだよね。といって玉の大きさを10倍にする。だいぶ狙いやすくなったと思いながら、僕は撃ってみる。すると光の玉が赤く光って、消えた。
「おめでとう。当たったみたいだね。」
どうやらあの現象は着弾した証のようだ。僕はしばらく撃ち続けた。そして気付いた。当たったら光の玉が僅かだが小さくなっている。そしてまた当たらなくなってしまった。
「それじゃあもう一度、玉の大きさを大きくしようか。」
撃って小さくなって大きくする、を繰り返した。結局僕らは一日中その練習を繰り返した。僕らはそんな練習を学園が始まるまで続けるのだった。