第五話 地獄の授業 後編
多少グロテスクな表現が入ります。苦手な方は読まないでください。
シャインさんが負けた後、次々に生徒が保健室へと運ばれた。僕のクラスは33人いる。今、28人目が発表されるところだ。
するとティーラ君が僕に声をかけてきた。
「地獄の授業は月に一回と言ったよな。今月は先輩の卒業試験。来月は課外学習。という感じで地獄の授業は行われていく。その中でも先輩の卒業試験が一番つらいんだ。俺たちは普通の剣を使うが先輩達は今年卒業だから16歳なんだ。この世界では16歳から剣と契約をして、特殊な能力を扱うことができる。そして先輩達は16年間この学校で剣の勉強をしているから、当たり前のように強い」
「あの、先輩が強いのはわかったんだけど、どうして僕を恐がらせるの?そんなこと聞いたら僕、本当に死んじゃうかもしれないよ」
「俺は、カイトに死んでもらいたくないから恐がらせ、怯えさせてるんだ。俺がこう言えばカイトは真剣に試合をする。神卵のやつは一番殺されやすいんだ。なぜなら相手が神卵だからだ。卒業生は死んでなければかならず一人、神卵がいる。神卵は一年に一回誕生するから年齢別に神卵がいるというわけだ。そして入ったばかりの神卵は容赦なく切り刻まれるだろう。理由は最近わかったんだ。
入ったばかりの神卵は、勉強も何もしていない。この状態でどこまで戦えるのかをテストされるんだ」
「第28回戦!卒業生アルガVSティーラ!両者は前に来てください!他の者は見学!」
放送がながれた。ティーラ君の番だ。
ドキドキしながら試合を見学する。
「試合開始!」
ティーラ君は思いっきり剣を振りかぶって卒業生を斬り付けた。卒業生の体からは血が大量にながれた。
僕はティーラ君が勝ったんじゃないか?と考えていたその時である。卒業生がティーラ君にこう言った。
「君、死んだね。僕の剣、痛分剣(痛み分けブレード)だから」
ティーラ君の体からとてつもない量の血がながれていた。
「試合、終了。勝者アルガ。」
僕は先生の所に走っていった。
「先生、どうしてこんな授業をするのですか?このままじゃティーラ君死んじゃいますよ!卒業試験は違うことをやれば良いじゃないですか!」
「卒業試験は後輩を相手にして、どこまで全力で戦うことができるのかをテストするために重要なことなんだよ。かわいそうに。ティーラ君は死んだよ」
「ティーラ君は死んでません!勝手に殺さないでください!」
「あれを見て御覧。」
先生が指を指した方向に血まみれになって倒れているティーラ君がいた。
僕は全速力でティーラ君のもとへ向かった。
「ティーラ君!起きてよ、お願いだから目を覚ましてよ!嘘だよね?死んでないよね?
なんで?どうしてティーラ君は目を覚まさないの?
きっと疲れて眠っちゃったんだよね。そうだよね。」
「残念だけどティーラは死んだよ。生きていたら先生が保健室へと運ぶはずだ」
嘘だ。こんなの嘘だよ。
「第29回戦!卒業生ブレイズVSカディン!両者は前に来てください!他の者は見学!」
「ちょっと待ってくださいよ!まだティーラ君が保健室へ運ばれてませんよ!」
「また君か。何度言えばわかるんだ!ティーラは死んだ!」
「僕、この学校辞めます。こんなに厳しいところは僕には向いていません。さよなら」
「退学?良いでしょう。しかし退学するためにはやらなければならないことがありますよ。それは私の選ぶ人と真剣勝負をして、勝つことです。」
「勝てば、勝てば学校を辞められるんですね!わかりました。今すぐ対戦相手を用意してください」
「試合中断!これより退学試験を始める!カイト、前に来てください!対戦相手は私です」
ついつい強気で退学なんて言ったけど、どうしよう。
でも、ティーラ君が死んだのをなんとも思ってない先生はやっぱり許せない!
「はじめに言っておくけどこの試合でカイト君が負けたら、ティーラ君のいる天国へ行けるよ。つまり、負けたときはお前は死んでいると言うことだ!さぁ、これが君の剣だ。でかいから攻撃力はあるよ」
僕は剣を持とうとした。
しかし、重すぎて持てない。
僕が剣を持とうとしている所を容赦なく攻撃を仕掛けてきた。
鉄の剣が僕の心臓を貫いた。
「どうしました?もう終わりですか?あっけないですね。では、とどめをさしましょう」
先生は剣を僕の心臓を何十回もさした。
僕は、僕は死にたくない。こんな人に殺されるのは嫌だ。
その時、僕の体からまばゆい光が放たれた。
「なんだ、この光は!」
「ずいぶんとえげつない事してくれるじゃん。だが、俺を殺そうなんて100年早いぜ。貴様には俺を殺すことはできない。俺が貴様を殺す。覚悟しろよ」
僕が僕じゃなくなったのはこの時からである。